第62話 獣医師として見てきた老いゆく動物のこころと飼い主のこころ|まだそばにいるのに、もう寂しさが始まっている方へ|保谷駅前こころのクリニック|西東京市「保谷駅」北口すぐの心療内科

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第62話 獣医師として見てきた老いゆく動物のこころと飼い主のこころ|まだそばにいるのに、もう寂しさが始まっている方へ

第62話 獣医師として見てきた老いゆく動物のこころと飼い主のこころ|まだそばにいるのに、もう寂しさが始まっている方へ|保谷駅前こころのクリニック|西東京市「保谷駅」北口すぐの心療内科

2025年12月13日

犬や猫にも、「年を重ねるこころ」があります。

若いころのように全力で走らなくなる。
散歩の途中で、立ち止まる時間が増える。
階段をためらう。
寝ている時間が長くなる。
少し離れた場所から、家族の様子を静かに眺めている。

それは、単に「元気がなくなった」ということだけではありません。

その子なりに、体の変化に合わせながら、少しずつ暮らし方を変えている時間でもあります。

老いは、別れの準備だけではありません。
関わり方を変えていく時間でもあります。

もちろん、動物のこころを人間の言葉で完全に説明することはできません。

それでも、獣医師として老いゆく動物たちを見ていると、飼い主さんとの関係の中で、安心している様子や、不安が和らぐ瞬間を感じることがあります。

痛みが和らいだときに見せる、力の抜けた表情。
飼い主さんの声に反応して、少し尻尾を振る姿。
抱っこされたまま、体を預ける様子。
診察台の上では緊張していても、飼い主さんの手に触れると落ち着いていく瞬間。

「この人のそばなら落ち着ける」

動物たちは、言葉ではそう言いません。

けれども、その安心が、年を重ねた体を支えているように見えることがあります。

1. 老いゆくあの子を見ていると、飼い主さんのこころも揺れます

動物が年を重ねると、飼い主さんのこころも少しずつ揺れ始めます。

もっと散歩に連れて行けばよかった。
もっと早く気づいていればよかった。
この治療を選んでよかったのだろうか。
痛みはないのだろうか。
苦しくないのだろうか。
自分の判断で、この子をつらくさせていないだろうか。

まだ、あの子はそばにいる。

でも、以前と同じではない。

その変化を見るたびに、胸の奥がぎゅっとなることがあります。

まだ失っていないのに、もう寂しさが始まっている。

これは、決しておかしなことではありません。

大切な存在の老いを見つめているとき、飼い主さんの中では、ペットロスに近い不安や悲しみが少しずつ始まることがあります。

これを、予期悲嘆と呼ぶことがあります。

2. 予期悲嘆は、「弱さ」ではありません

予期悲嘆とは、大切な存在との別れが近づいているかもしれないと感じたときに、実際の別れの前から始まる悲しみや不安のことです。

老犬や老猫と暮らしている方には、この感覚が出ることがあります。

寝顔を見るだけで泣きそうになる。
食欲が落ちるたびに不安になる。
通院のたびに胸が重くなる。
薬を飲ませるたびに、これでよいのか迷う。
元気だったころの写真を見るのがつらい。
いつか来る日を考えてしまい、眠れなくなる。

これは、飼い主さんが弱いからではありません。

それだけ大切にしてきたからこそ、こころが先に反応しているのです。

あの子の老いを見つめることは、飼い主さん自身のこころを見つめることでもあります。

3. 老いゆく動物のこころには、「安心」が大きな意味を持ちます

年を重ねた動物にとって、安心できる環境はとても大切です。

若いころのように動けない。
音や環境の変化に敏感になる。
視力や聴力が落ちる。
痛みや違和感が増える。
排泄や食事に手助けが必要になる。

こうした変化があると、動物自身も不安になりやすくなります。

そのとき、飼い主さんの声、手のぬくもり、いつもの寝床、いつもの匂い、いつもの生活リズムが支えになることがあります。

老いた動物にとって大切なのは、若いころと同じように頑張らせることではありません。

今の体に合った安心を、少しずつ増やしていくことです。

散歩の距離を短くする。
抱っこの時間を増やす。
段差を減らす。
食べやすい形に変える。
痛みや不安を早めに相談する。
無理に元気だったころへ戻そうとしない。

老いを受け入れることは、手を離すことではありません。

その子の今に合わせて、愛し方の形を変えていくことです。

4. 飼い主さんは「正解探し」で苦しくなることがあります

老いゆく動物を見守る中で、飼い主さんは何度も判断を迫られます。

検査をするか。
治療を続けるか。
薬を増やすか。
通院を続けるか。
家で静かに過ごすか。
どこまで頑張らせるか。
どこからは、穏やかさを優先するか。

どの選択にも、迷いがつきまといます。

そして、飼い主さんは自分を責めます。

もっとよい選択があったのではないか。
自分の都合で決めていないか。
この子の気持ちを分かってあげられているのか。
家族の中で、自分だけが重く受け止めすぎているのか。

でも、老いの時間に、完全な正解はありません。

必要なのは、ひとつの正解を探し続けることではなく、その子と飼い主さんにとって、今できる現実的な関わり方を考えることです。

正解を探し続けるほど、こころは疲れていきます。

「今のあの子にとって、何が少し楽か」
「今の自分にとって、どこまでなら抱えられるか」

その両方を見ていくことが大切です。

5. まだそばにいる時期の悲しみも、相談してよいものです

ペットロスというと、亡くなった後の悲しみを想像される方が多いかもしれません。

もちろん、別れの後の悲しみも大切な相談です。

しかし、心療内科で相談できるのは、別れた後だけではありません。

まだそばにいる。
でも、老いが進んでいる。
通院や介護が続いている。
食欲や歩き方の変化を見るたびにつらい。
この先を考えると眠れない。
家族には話しにくい。
泣いてばかりいる自分を責めてしまう。

そのような時期にも、相談する意味があります。

まだそばにいるからこそ、言葉にしにくい悲しみがあります。

「今から悲しんでしまうなんて、申し訳ない」
「まだ生きているのに、こんなに泣いていいのだろうか」

そう感じる方もいます。

でも、それは冷たいことではありません。

それだけ、今まで一緒に生きてきたということです。

6. 保谷駅前こころのクリニックでできること

保谷駅前こころのクリニックでは、ペットロスや予期悲嘆について、獣医師としての経験と、精神科・心療内科としての視点の両方から相談をお受けしています。

当院で大切にしているのは、悲しみを急いで消すことではありません。

老いゆくあの子の変化。
飼い主さんの不安。
介護や通院の負担。
治療選択への迷い。
罪悪感。
眠れない、食べられない、仕事に集中できないという生活への影響。
家族との温度差。

これらを一つずつ、見える形にしていくことです。

悲しみを「なくす」のではなく、抱え方を少し変えていく。

そのための地図を一緒に作ることが、当院でできることだと考えています。

老いゆくあの子の変化を見つめる時間は、飼い主さんのこころにも大きな負担をかけます。

その負担を「気の持ちよう」で片づけず、言葉にして整理することには意味があります。

7. 受診を検討してよい目安

次のような状態が続いている場合は、一度相談を検討してよい状態です。

老犬・老猫の変化を見るたびに涙が出る。
治療や介護の選択で、自分を責め続けている。
この先のことを考えると眠れない。
食欲が落ちている。
仕事や家事に集中できない。
家族や周囲と気持ちを共有できず、孤立している。
通院や介護の負担で、心身が疲れている。
まだそばにいるのに、すでに喪失感が強い。
別れのことを考えると、胸が苦しくなる。
亡くなった後の自分がどうなるのか不安になる。

このような状態は、飼い主として弱いから起きているのではありません。

大切な存在を見守り続ける中で、こころが負荷を受けているサインです。

8. 悲しみを抱えたまま、今の状態を整理する外来として

当院は、長時間お話をすることを目的とした場所ではありません。

ただし、ペットロスや予期悲嘆によって、不眠、食欲低下、気分の落ち込み、仕事や生活への支障が出ている場合には、医療の場で状態を整理できることがあります。

大切なのは、悲しみをすぐに消すことではありません。

今の状態を見える形にすること。
どこが一番つらいのかを整理すること。
生活への影響を確認すること。
必要に応じて、医療として支えられる部分を考えること。

そのうえで、必要な方には、継続的な相談や自費相談を含めた選択肢を検討することもあります。

「ただ長く聴いてもらう」ことではなく、「今の状態を一緒に整理する」。

それが、当院で相談する意味だと考えています。

9. 西東京市・保谷、大泉学園方面でペットロス・予期悲嘆の相談先を探している方へ

保谷駅前こころのクリニックは、保谷駅北口すぐ、いなげや保谷駅前店2階にあります。

駅のホームからも見える場所にあり、初めての方でも場所を確認しやすい立地です。

西東京市、保谷周辺の方だけでなく、大泉学園、南大泉、西大泉、ひばりヶ丘方面からも通院を検討しやすい場所です。

平日夜20時まで、日曜・祝日も診療しています。

仕事帰りに相談したい方。
平日は気持ちを整える時間が取りにくい方。
日曜日に落ち着いて相談したい方。
ペットロスや予期悲嘆について、専門的に話せる場所を探している方。

そのような方にとって、生活動線の中で相談しやすい場所でありたいと考えています。

10. 受診を希望される方へ

老いゆくあの子を見ているのがつらい。
まだそばにいるのに、涙が出る。
治療や介護の選択で、自分を責めてしまう。
この先のことを考えると眠れない。
家族には同じ温度で話せない。
ペットロスが始まっているように感じる。
今の気持ちを、どこかで整理したい。

そのように感じた方は、まずWEB問診から、今の状態をお知らせください。

当院は完全予約制です。

ご記入いただいた内容をもとに、医師が確認し、当院でお力になれると判断した場合に、WEB予約をご案内します。

小規模クリニックのため、診療体制上すべてのご相談に対応できるわけではありません。あらかじめご了承ください。

問診を書けば必ず予約できる、という仕組みではありません。

老いゆく動物のこころと、そばで見守る飼い主さんのこころ。

その両方を見つめながら、今の状態を一緒に整理していきます。

大切な存在を見送る前から、こころは少しずつ揺れています。

その揺れを、ひとりで抱え続ける前に、いちど言葉にしてみてもよいのだと思います。

受診を希望される方は、WEB問診から現在の状態をお知らせください。

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