不安でたまらない
不安でたまらない

「不安でたまらない」という状態は、日常生活の中で強い緊張や恐れを感じ、心が落ち着かなくなる状況を指します。誰でも試験や仕事の発表、将来への心配ごとなどに直面すると一時的に不安を感じます。しかし通常の不安は時間とともに軽減し、生活に支障をきたすことはあまりありません。ところが、この不安感が長期間続いたり、特に理由が見当たらないのに常に心配し続けたりすると、心身に大きな負担となります。
不安は単なる「気持ちの問題」ではなく、身体にも影響を及ぼします。強い不安が続くと、自律神経の働きが乱れて動悸、息苦しさ、めまい、胃の不快感、下痢や便秘などの身体症状を伴うことがあります。また、寝つきが悪くなる、夜中に目が覚めるなどの睡眠障害も生じやすく、疲労感や集中力の低下を招きます。その結果、仕事や学業に支障が出たり、人付き合いを避けるようになったりするケースも少なくありません。
「不安でたまらない」と感じる背景にはさまざまな要因があります。
心理的要因
過度なストレスやプレッシャー、家族・職場・学校での人間関係の問題、過去のトラウマなどが、不安感を強める要因となります。特に几帳面で責任感が強い方は、心配ごとを抱え込みやすく、不安が慢性化しやすい傾向があります。
身体的要因
甲状腺機能亢進症や更年期障害など、ホルモンや自律神経の働きに関わる疾患は、不安症状を引き起こすことがあります。また、心臓や呼吸器の異常による動悸や息苦しさが不安感を助長する場合もあります。
精神疾患に
関連する要因
不安障害(全般性不安障害、パニック障害、社交不安障害など)やうつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)といった精神疾患の一症状として強い不安が出現することがあります。これらの場合、単なる気の持ちようでは解決せず、医療的な支援が必要となります。
生活習慣による要因
睡眠不足や不規則な生活、過度のアルコール・カフェイン摂取、スマートフォンやインターネットの過剰使用なども、自律神経を乱し不安を増幅させる要因となります。
人が生きていく上で、ほどほどの不安を感じることは、自分を守るためにとても大切です。しかし、その不安がいき過ぎてしまうと、日常生活に支障をきたすようになります。いき過ぎた不安を感じるようになった状態を「不安障害」とよびます。不安障害の中でも代表的なものが「パニック障害」です。突然理由もなく、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといった発作を起こし、そのために生活に支障が出ている状態をパニック障害と言います。
このパニック発作は死んでしまうのではないかと思うほど強くて自分ではコントロールできないと感じます。そのため、また発作が起きたらどうしようかと不安になり、発作が起きやすい場所や状況を避けるようになります。最初に発作が起きる原因には、過労やストレスなどが関係していると考えられています。その後、再発することへの強い不安(予期不安)によって発作が起こる場合もあります。
このパニック障害の治療では、抗うつ薬や抗不安薬による薬物療法と合わせて、少しずつ苦手なことに挑戦し、慣れていく心理療法が行われます。無理をせず、自分のペースで取り組むことが大切です。
「全般性不安障害」━━あまり聞き慣れない病名ですが、米国では障害有病率が5.1%、つまり約20人に1人が一生のうちに一度以上この病気にかかっているという、思いのほか多い病気です。もともとは不安神経症といわれていたこの病気は、1980年に米国精神科医学会の診断用語で、パニック障害と全般性不安障害に分けられました。
誰もが感じる正常な不安ははっきりした理由があって、その間だけ続きます。しかし、全般性不安障害の場合、特殊な状況に限定されない、理由の定まらない不安が長時間続き、ついには日常生活にも支障をきたすようになります。不安障害のなかでは一般的で発症は10代半ばが多いですが、精神科にはかなりの時を経て受診するケースが多いです。原因は分かっていませんが遺伝的要因や神経質の性格、現在のストレス状態や自律神経の障害などが発症の原因だといわれています。
強迫性障害は、自分でも無意味、不合理であると分かっていながら、何度も同じ確認などを繰り返してしまう状態です。例えば、不潔に思い過剰に手を洗う、戸締りなどを何度も確認せずにはいられないなどがあります。治療によって改善する病気です。「考えずにはいられない」「せずにはいられない」ことで、つらい思いや不便を感じるときはご相談ください。
診察ではまず、症状の出現時期や持続時間、日常生活への影響について詳しく問診します。不安の程度を客観的に評価するために、心理検査や質問票を用いることもあります。また、身体疾患が背景にあるかどうかを調べるために血液検査や甲状腺機能検査、心電図、必要に応じて頭部画像検査などを行うこともあります。こうした身体的要因を除外した上で、不安障害などの診断基準(DSM-5など)に照らして精神科的な診断が行われます。
「不安でたまらない」状態への対応には、症状の原因や程度に応じていくつかの方法があります。
薬物療法
強い不安や日常生活への影響が大きい場合には、抗不安薬や抗うつ薬(SSRIなど)が処方されることがあります。薬によって脳内の神経伝達物質のバランスを整え、不安感を和らげる効果が期待できます。
心理療法
認知行動療法(CBT)は、不安を強めてしまう考え方や行動のパターンを見直し、現実的で柔軟な思考に修正していく治療法です。また、カウンセリングやリラクゼーション法を通じて、不安と上手に付き合う方法を学ぶことも有効です。
生活習慣の改善
規則正しい睡眠、栄養バランスの取れた食事、ウォーキングやストレッチなどの軽い運動は、自律神経の安定と不安の軽減につながります。アルコールやカフェインを控えることも大切です。
セルフケア
深呼吸や瞑想、ヨガなどは、不安を感じたときに心身を落ち着ける手助けになります。また、日記をつけて自分の気持ちを整理したり、信頼できる人に気持ちを話すことも不安軽減に有効です。
一時的な不安は自然に回復することが多いですが、以下のような場合には医療機関への受診を検討してください。
適切な治療を受けることで、多くの方が不安の軽減や改善を実感できます。不安は「気の持ちよう」だけで解決できるものではなく、心身の状態に関わる大切なサインです。一人で抱え込まず、早めにご相談ください。
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