第309話「強い言葉や態度を向けられたとき、窓口の人のこころに起きていること」【カスタマーハラスメント】|保谷駅前こころのクリニック|西東京市「保谷駅」北口すぐの心療内科

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第309話「強い言葉や態度を向けられたとき、窓口の人のこころに起きていること」【カスタマーハラスメント】

第309話「強い言葉や態度を向けられたとき、窓口の人のこころに起きていること」【カスタマーハラスメント】|保谷駅前こころのクリニック|西東京市「保谷駅」北口すぐの心療内科

2026年5月11日

医療機関の窓口で、怒鳴る、長時間詰める、威圧する、過度な要求を続ける行為は、対応するスタッフの心に大きな負担を与えることがあります。正当なご意見とカスタマーハラスメントは異なります。安心して診療を続けるために、医療機関が守るべき線引きについて解説します。

強い言葉を向けられたとき、窓口の人の心に起きていること

医療機関におけるカスタマーハラスメントについて

医療機関の窓口では、さまざまな方と接します。

体調が悪い方。
不安を抱えている方。
予約や診療内容について確認したい方。
待ち時間や手続きに戸惑っている方。

そのため、窓口では、できる限り丁寧に説明し、落ち着いて対応することが求められます。

一方で、医療機関の窓口に対して、強い言葉をぶつける、怒鳴る、長時間問い詰める、人格を否定する、過度な要求を続けるといった行為が行われることがあります。

いわゆる、カスタマーハラスメントです。

東京都カスタマー・ハラスメント防止条例では、カスタマーハラスメントについて、顧客等から就業者に対して業務に関して行われる著しい迷惑行為で、就業環境を害するものと定義されています。また、2025年4月1日から施行され、「何人も、あらゆる場において、カスタマー・ハラスメントを行ってはならない」と定められています。

医療機関は、患者さんのための場所です。

しかし同時に、そこで働く人の心と安全も守られなければなりません。

窓口の人は、ただ事務作業をしているだけではありません

受付や窓口の仕事は、単に予約を取る、保険証を確認する、会計をするだけではありません。

患者さんの不安を受け止める。
医師や看護師との橋渡しをする。
予約状況や診療ルールを説明する。
待合室全体の空気を見ながら、次の対応を考える。
電話、会計、問診、予約変更、問い合わせに同時に対応する。

医療機関の窓口は、想像以上に緊張感の高い場所です。

そこに、怒鳴り声や威圧的な態度、繰り返される強い要求が重なると、対応している人の心には大きな負荷がかかります。

その場では冷静に見えても、内側では強い緊張が続いていることがあります。

怒鳴られた直後、窓口の人の心に起きること

強い言葉を向けられたとき、人の心と身体は反応します。

たとえば、

「また何か言われるのではないか」
「自分の説明が悪かったのだろうか」
「次の患者さんにも同じように言われたらどうしよう」
「電話が鳴るのが怖い」
「窓口に立つだけで緊張する」

このような反応が起きることがあります。

心拍が速くなる。
手が震える。
声が出にくくなる。
頭が真っ白になる。
そのあとも何度も場面を思い出す。
帰宅後も気持ちが休まらない。
翌日の出勤前に気分が重くなる。

これは、弱いから起きる反応ではありません。

人から強い攻撃を受けたとき、心と身体が自分を守ろうとして起きる自然な反応です。

「患者さんだから仕方ない」で済ませてよいわけではありません

医療機関では、患者さんが不安やつらさを抱えて来院されることがあります。

病気や症状、薬、診断書、予約、費用、待ち時間などをめぐって、気持ちが高ぶることもあるでしょう。

もちろん、医療機関側が説明を尽くすべき場面はあります。
正当な意見や問い合わせ、必要な確認まで否定するものではありません。

東京都の条例でも、適用にあたっては顧客等の権利を不当に侵害しないよう留意することが定められています。つまり、正当な意見や必要な確認と、カスタマーハラスメントは区別して考える必要があります。

しかし、次のような行為は、通常の問い合わせや意見とは異なります。

怒鳴る。
人格を否定する。
何度も同じ説明を求め続ける。
長時間、電話や窓口で拘束する。
謝罪を強要する。
特別扱いを求め続ける。
スタッフを攻撃する。
録音・録画で威圧する。
SNS投稿や口コミをちらつかせて要求を通そうとする。
診療ルールを無視して、自分だけの例外対応を求める。

このような行為は、対応するスタッフの心を削ります。

そして、スタッフの心が疲弊すると、医療機関全体の安全性や診療の質にも影響します。

窓口の人が感じやすい「自分が悪いのでは」という思い

カスタマーハラスメントを受けたスタッフは、しばしば自分を責めます。

「もっと上手に説明できればよかった」
「自分の言い方が悪かったのかもしれない」
「私が我慢すれば済むことだったのでは」
「院内に迷惑をかけたのではないか」

このように感じてしまうことがあります。

けれど、強い口調で責められた側が、すべてを背負う必要はありません。

説明不足があれば改善すればよい。
手続きに分かりにくい点があれば見直せばよい。
しかし、それと、怒鳴る・脅す・人格を傷つける行為を受け入れることは別です。

改善すべき点があることと、ハラスメントを許容することは違います。

医療機関の窓口は「無制限に感情を受け止める場所」ではありません

心療内科や精神科では、とくに不安、怒り、被害感、焦りを抱えた方が来院されることがあります。

だからこそ、医療機関側は丁寧に対応する必要があります。

しかし、医療機関の窓口は、無制限に感情をぶつける場所ではありません。

窓口スタッフは、患者さんの主治医ではありません。
カウンセラーでもありません。
法律相談の相手でもありません。
長時間の感情処理を引き受ける役割でもありません。

窓口には、窓口の役割があります。

予約、受付、会計、必要事項の確認、院内ルールの説明。
その範囲を超えて、長時間の訴えや攻撃的なやり取りが続く場合、医療機関として対応を区切る必要があります。

それは冷たい対応ではありません。

安全に診療を続けるための境界線です。

窓口スタッフを守ることは、他の患者さんを守ることでもあります

カスタマーハラスメントへの対応に長時間を取られると、その間、他の患者さんへの対応が遅れます。

会計が止まる。
予約対応が進まなくなる。
待合室の空気が悪くなる。
他の患者さんが不安になる。
スタッフ全体が緊張する。

つまり、窓口での過度な要求や威圧的な言動は、目の前のスタッフだけでなく、同じ時間に来院している他の患者さんにも影響します。

医療機関がカスタマーハラスメントに対して毅然とした対応を取ることは、スタッフを守るだけではありません。

安心して通院したい患者さんを守ることにもつながります。

「丁寧な対応」と「何でも受け入れること」は違います

医療機関に求められるのは、丁寧な対応です。

しかし、丁寧であることは、すべての要求に応じることではありません。

予約枠には限りがあります。
診療時間には限りがあります。
診断書や書類作成には医学的判断が必要です。
他の患者さんの診療を守る必要もあります。

そのため、医療機関では、

「その対応はできません」
「診察内で医師にご相談ください」
「これ以上の説明は困難です」
「同じ内容の繰り返しになりますので、本日はここまでとさせていただきます」


「威圧的な言動が続く場合、対応を終了します」

と伝えることがあります。

これは相手を拒絶するためではありません。

医療機関として、安全に対応できる範囲を明確にするためです。

窓口の人が自分の心を守るために大切なこと

強い言葉を向けられたとき、対応したスタッフが一人で抱え込まないことが大切です。

その場で無理に解決しようとしない。
長時間、一人で対応し続けない。
院長や責任者に早めに引き継ぐ。
事実を記録する。

トラブルは院内で共有情報として保持する。
対応後に短時間でも気持ちを整理する。
「自分が悪い」と決めつけない。
次回以降の対応ルールを院内で共有する。

カスタマーハラスメント対応は、個人の我慢で処理する問題ではありません。

組織として対応する問題です。

厚生労働省も、顧客等からの著しい迷惑行為への対策として、事前準備や実際に起きた際の対応をまとめた「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」などを公開しています。

医療機関として必要な線引き

医療機関では、次のような線引きをあらかじめ決めておくことが重要です。

どのような言動をカスタマーハラスメントと判断するか。
窓口スタッフが一人で対応する限界はどこか。
どの段階で院長や責任者に引き継ぐか。
対応を終了する基準は何か。


SNSや口コミを使った威圧にどう対応するか。
今後の診療継続が困難と判断する基準は何か。
必要に応じて、警察・弁護士など外部機関へ相談する基準は何か。

これらを明確にしておくことで、スタッフは安心して働きやすくなります。

また、患者さん側にとっても、医療機関のルールが明確であることは、不要な誤解を減らすことにつながります。

窓口の人の心は、医療機関の大切なインフラです

医療機関では、医師、看護師、心理職、事務職など、さまざまな職種が連携しています。

その中でも、窓口スタッフは、患者さんと医療機関をつなぐ最初の接点です。

窓口の人が安心して働けること。
落ち着いて説明できること。
必要なときに院内で助けを求められること。
理不尽な攻撃から守られていること。

これは、医療機関の質に直結します。

窓口スタッフの心が守られていない医療機関では、安定した診療体制を維持することはできません。

医療は、人が人に提供するものです。

だからこそ、患者さんの安全と同じように、働く人の安全も守られる必要があります。

当院で大切にしていること

保谷駅前こころのクリニックでは、患者さんが安心して受診できる環境を大切にしています。

同時に、院内で働くスタッフが安心して業務を行える環境も大切にしています。

当院では、診療や受付対応において、できる限り分かりやすい説明を心がけています。

一方で、怒鳴る、威圧する、長時間拘束する、人格を否定する、スタッフを威圧する、口コミやSNS投稿を示唆して要求を通そうとするなどの行為がある場合には、対応を制限することがあります。

必要に応じて、診療継続が困難と判断する場合もあります。

これは、

安心して通院されている他の患者さんと、院内で働くスタッフを守るためです。

受診を希望される方へ

当院では、初診をご希望の方に、まずWEB問診の入力をお願いしています。

WEB問診では、現在の症状、困っていること、これまでの経過、受診目的などを確認します。

その内容をもとに、当院で対応可能かどうかを確認したうえで、受け入れ可能な方にWEB予約をご案内しています。

これは、診療を安全に行うための仕組みです。

心療内科・精神科では、受診前の情報整理がとても重要です。

限られた診療時間の中で、睡眠、不安、気分、仕事や学校への影響、生活状況を確認し、無理のない範囲で治療方針を考えていきます。

当院の診療方針をご理解いただける方は、まずWEB問診からご入力ください。

FAQ

Q1. 医療機関でのカスタマーハラスメントとは何ですか?

医療機関において、患者さんやご家族などから、怒鳴る、威圧する、長時間拘束する、過度な要求を続ける、スタッフの人格を傷つけるなどの行為が行われることを指します。

正当な質問や意見とは区別されます。

Q2. 苦情を言うこと自体がカスタマーハラスメントになりますか?

いいえ。

正当なご意見や確認、説明を求めること自体はカスタマーハラスメントではありません。

ただし、言い方、拘束時間、要求内容、威圧性によっては、通常の問い合わせの範囲を超えることがあります。

Q3. 窓口で怒ってしまった場合、すぐ受診できなくなりますか?

威圧的な言動が続く場合や、スタッフ・他の患者さんの安全に影響すると判断される場合には、即時に対応を制限することがあります。

Q4. なぜ窓口スタッフを守る必要があるのですか?

窓口スタッフが安心して働けない環境では、予約、会計、電話対応、患者さんへの説明などが安定して行えなくなります。

スタッフを守ることは、他の患者さんの診療環境を守ることにもつながります。

Q5. 診療を断られることはありますか?

当院で安全に対応することが難しいと判断される場合、または院内ルールを守っていただけない場合には、信頼関係が構築できないため診療継続や新規受け入れが困難となることがあります。

院内での迷惑行為・カスタマーハラスメントについて

当院では、患者さんが安心して受診できる環境と、スタッフが安全に働ける環境の両方を大切にしています。

以下のような行為がある場合、対応を中止または制限し、通報することがあります。

・怒鳴る、威圧する
・スタッフの人格を否定する
・長時間にわたり窓口を拘束する

・院内で居座る
・過度な要求を繰り返す

・同じ説明を繰り返し要求する
・録音・録画により威圧する


・口コミやSNS投稿をして自分の要求を通そうとする
・他の患者さんの診療環境に影響を与える行為

必要に応じて、診療継続が困難と判断する場合があります。

安心して通院できる医療環境を守るため、ご理解とご協力をお願いいたします。

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