2026年1月28日
夜勤、準夜、早朝、変則シフト。
シフトワークの睡眠の乱れは意思や根性の問題ではありません。
体内時計(概日リズム)と仕事の時間が合わない以上、努力だけで「毎回うまく眠る」のは難しいのが自然です。
それでも、多くの方がここで立ち止まります。
• 睡眠薬って、依存になりませんか?」
• 一度飲んだら、やめられなくなりそうで…」
•「メンタルクリニックに行くほどではない気がして」
この不安があるから、眠れないまま勤務を続けてしまう人が少なくありません。
そして睡眠不足は、じわじわと仕事の質と体調を削っていきます。
「依存が心配」という感覚は、とても健全です
まず大前提として。
睡眠薬に慎重になる感覚は間違っていません。むしろ、自分の体と仕事を大切にしている証拠です。
医療側も、「毎日ずっと飲み続けてください」という前提で処方するわけではありません。
特にシフトワークの方の場合、考え方そのものが違います。
シフトワークに多いのは「毎日飲まない」使い方
シフトワークの睡眠問題でよく聞く希望は、次のようなものです。
•次の勤務前だけ、確実に眠りたい
•連続夜勤の「最初の日」だけ整えたい
•早朝勤務の前日に限って使いたい
•休みの日は、できれば使いたくない
つまり、探しているのは
「毎日飲む薬」ではなく「必要なときだけ使う薬」ということ。
この発想は医療的にも自然で、むしろ安全に使うための土台になります。
短時間作用型の睡眠薬という選択(頓服という使い方)
不安や抑うつがなく、問題が「寝つけない」「入眠が合わない」に限られている場合、
短時間作用型の睡眠薬を頓服(必要なときだけ)で使うという方法があります。
短時間作用型は一般に、
•効き始めが比較的早い
•作用時間が短い
• 翌日に残りにくい(※個人差あり)
といった特徴があり、シフトのここだけ眠りたいに合わせやすいことがあります。
ただし大切なのは、薬そのものよりも――
使い方を最初から設計することです。
• どの勤務パターンの前に使うか
• 月に何回くらいが適切か
•「使わない日」をどう確保するか
• 翌日の眠気・ふらつきが出ないか
ここを最初から一緒に決めておくと、安心して使いやすくなります。
依存を防ぐために、医療がしていること
「睡眠薬=依存」というイメージが強いのは、
設計がないまま連用してしまうケースが知られているからです。
実際の診療では、次のような点を重視して調整します。
• 連用を前提にしない(頓服・必要時使用の設計)
• 効きすぎ・翌日残りを必ず確認する
• 勤務状況が変われば、使い方も変える
• 不要になれば、自然に使わなくなる形を目指す
•「増やさない」ためのルールを最初に作る
依存を避けるために医療が介入する。
――これが、本来の役割です。
メンタルクリニックに行く=精神病患者、ではありません
ここで、もう一つ大きな誤解があります。
「メンタルクリニックに行ったら、自分は精神的に弱い人になる気がする」
実際に来院されている方の多くは、
•普通に働いている
•不安や抑うつはない
•休職もしていない
•ただ、睡眠だけが合わない
という方たちです。
シフトワークの睡眠相談は、
メンタルの病気の診断を受けに行く行為ではありません。
働き方に合わせて、
睡眠をどう確保するかを一緒に設計する場です。
「まだ我慢できる」うちに整えておく、という考え方
眠れないまま勤務を続けると、
• 集中力が落ちる
• ミスが増える
• 体調を崩しやすくなる
• いずれ本当に休まざるを得なくなる
という順番をたどることもあります。
そうなる前に、
「今は病気じゃないけど、この働き方を続けたい」
その段階で相談するのは、とても合理的です。
必要なときだけ、医療を使っていい
•睡眠薬に依存するのが怖い
•だからこそ、ちゃんと管理して使いたい
•毎日ではなく、必要なときだけ眠りたい
•シフトワークを続けるために、睡眠を確保したい
その考えは、正しいです。
メンタルクリニックは、
「つらくなってから行く場所」だけではありません。
壊れないために、整えに行く場所でもあります。
もし今、
「このままで大丈夫かな」と少しでも感じているなら。
それは、相談していいサインです。
保谷駅前こころのクリニック
