第29話 寝酒がないと眠れない方へ|アルコール・GABA・睡眠薬と不眠の関係|保谷駅前こころのクリニック|西東京市「保谷駅」北口すぐの心療内科

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第29話 寝酒がないと眠れない方へ|アルコール・GABA・睡眠薬と不眠の関係

第29話 寝酒がないと眠れない方へ|アルコール・GABA・睡眠薬と不眠の関係|保谷駅前こころのクリニック|西東京市「保谷駅」北口すぐの心療内科

2025年11月26日


仕事が終わったあとの一杯。

それは、ただのお酒ではなく、
一日の緊張をほどくための時間になっていることがあります。

「飲むと少し楽になる」
「気持ちがゆるむ」
「寝つきがよくなる気がする」
「睡眠薬を飲むより、お酒の方が自然な気がする」

そう感じる方は少なくありません。

けれど、ここで一度、考えておきたいことがあります。

寝酒は、本当に「自然で安心な眠り方」なのでしょうか。

お酒で楽になる感覚と、GABAの関係

お酒を飲むと、少し気持ちがゆるむ。

その感覚の裏側には、
脳の中でブレーキの役割をしている
GABA、つまりギャバという仕組みが関係しています。

GABAは、脳の興奮をしずめる方向に働きます。

頭の中が忙しい。
気持ちが張りつめている。
体は疲れているのに、脳だけが止まらない。

そういうときに、脳のスピードを少し落とす働きがあります。

アルコールも、脳の中では、このGABAの働きを強める方向に作用します。

だから、お酒を飲むと、
緊張がゆるんだり、
眠くなったり、
少し楽になったように感じたりすることがあります。

ここまでは、感覚としてもわかりやすい話です。

寝酒は「薬ではないから安心」とは限らない

「睡眠薬は怖い」
「薬に頼りたくない」
「それなら、お酒で眠る方が自然な気がする」

診察室でも、こうした迷いを聞くことがあります。

その気持ちは、よくわかります。

睡眠薬には注意点があります。
合う、合わないもあります。
量や飲み方によっては、翌日に眠気が残ることもあります。

だからこそ、医師と相談しながら、
種類、量、飲む時間、使う期間、やめ方を考える必要があります。

一方で、寝酒はどうでしょうか。

薬ではないため、かえって油断されやすい。
量もタイミングも、自分の感覚で増えやすい。
眠れない夜ほど、「もう一杯」が重なりやすい。

寝酒は、薬ではないから安心なのではありません。

医師の目が届かないまま、
脳に強く作用していることがあります。

ここは、とても大事なポイントです。

毎晩飲むと、脳はお酒に慣れていく

問題は、お酒で眠る状態が毎晩のように続いたときです。

脳は、同じ刺激が繰り返されると、
それに慣れようとします。

最初はビール1本で眠くなっていた。
以前は少し飲めば十分だった。
それなのに、いつの間にか量が増えている。

「今日はもう少し飲まないと眠れない」
「飲まないと落ち着かない」
「休肝日を作ろうと思っても、夜になると飲みたくなる」

そのような変化があるとき、
単に意思が弱いという話では済まないことがあります。

脳が、アルコールのある状態に合わせて、
少しずつ設定を変えている可能性があります。

その結果、以前と同じ量では効きにくくなる。
同じように眠るために、量が増える。
飲んでも眠りが浅い。
途中で目が覚める。
朝に疲れが残る。

眠るために飲んでいたはずのお酒が、
いつの間にか、眠りを浅くする原因になっている。

ここが、寝酒の難しいところです。

なお、飲酒量が多い場合や、
飲まないと手の震え、発汗、強い焦りなどが出る場合には、
睡眠の相談だけではなく、
アルコール依存症としての専門的な治療が必要になることがあります。

「飲めば寝つける」のに、眠りは崩れていく

寝酒のややこしさは、
最初の寝つきだけを見ると、効いているように感じるところです。

たしかに、お酒を飲むと眠くなることがあります。
布団に入ってから、早く眠れるように感じることもあります。

しかし、睡眠全体で見ると、話は別です。

途中で目が覚める。
眠りが浅くなる。
夢が多い。
朝にだるさが残る。
結局、疲れが取れていない。

こうした状態が続くことがあります。

「飲めば寝つける」けれど、
「飲むほど眠りの質が崩れていく」。

この矛盾が、寝酒のこわさです。

お酒は、睡眠薬の効き方にも影響することがある

さらに大切なのは、
お酒の影響は、お酒だけで終わらないという点です。

睡眠薬や抗不安薬の中には、
GABAの仕組みに関わって作用するものがあります。

そのため、アルコールが習慣化していると、
薬の効き方が不安定になったり、
思ったほど効果を感じにくくなったり、
眠りの質が整いにくくなったりすることがあります。

つまり、寝酒が続いていると、
「お酒も効きにくい」
「薬も効きにくい」
「眠りそのものが整いにくい」

そうした土台が、少しずつ作られてしまうことがあります。

睡眠薬を怖がって避けていたはずなのに、
結果として、より調整しにくい眠り方になっている。

そういうこともあります。

睡眠薬は、管理して使う選択肢です

睡眠薬に不安を持つことは、自然なことです。

依存が心配。
朝に残るのが怖い。
やめられなくなりそうで不安。
できれば薬を飲みたくない。

そのように感じる方は少なくありません。

ただ、睡眠薬は、ただ怖がるだけのものではありません。

大切なのは、
今の不眠のタイプに合っているか。
量が適切か。
飲む時間が合っているか。
翌日に眠気が残っていないか。
漫然と続いていないか。
やめ方まで考えられているか。

こうした点を、診察の中で確認しながら使うことです。

寝酒は、自分の感覚だけで量が増えやすい方法です。

一方で、睡眠薬は、
医師のもとで効果や副作用を確認しながら調整できる治療の選択肢です。

もちろん、すべての方に睡眠薬が必要というわけではありません。
薬を使わずに、生活リズムや行動の工夫で整えていく場合もあります。

ただ、毎晩お酒で眠ることに不安があるなら、
睡眠薬を使うかどうかも含めて、
一度、今の眠り方を整理してみる意味はあります。

睡眠薬が怖い方ほど、
自己判断で寝酒を続けるより、
まず相談して整理した方がよいことがあります。

お酒で何とか眠るより、
睡眠薬の必要性や使い方を医師と確認しながら、
眠り方を立て直す方が、自分には合っているかもしれない。

そう感じる方もいます。

大切なのは、まず飲み方の意味を整理すること

お酒をやめること。
量を減らすこと。
睡眠薬との関係を見直すこと。

どれも、簡単な話ではありません。

「今日から完全にやめましょう」と言われても、
できる人ばかりではありません。

むしろ大切なのは、
今の飲み方が、睡眠と脳にどのような影響を与えているのかを整理することです。

お酒で眠っているのか。
不安をしずめるために飲んでいるのか。
仕事の緊張を切るために飲んでいるのか。
眠れないことへの怖さを避けるために飲んでいるのか。

同じ「寝酒」でも、その意味は人によって違います。

だからこそ、治療も一律ではありません。

薬で整える部分。
考え方や行動を整える部分。
生活リズムを整える部分。
お酒との距離を、現実的に調整する部分。

その人の生活に合わせて、組み立てていく必要があります。

依存症専門医療が必要になる場合もあります

アルコールの量が多い場合、
手の震え、発汗、不眠、強い焦りなどの離脱症状がある場合、
飲酒を自分で止められない状態が続いている場合には、
依存症専門医療機関での治療が必要になることがあります。

当院は、アルコール依存症の専門治療機関ではありません。

ただし、心療内科・精神科の診療の中で、
不眠、不安、気分の落ち込み、睡眠薬への不安などのご相談をお受けする際に、
飲酒と睡眠の関係を整理することはあります。

お酒を責めるのではなく、
お酒に頼らざるを得なかった背景も含めて、
今の睡眠を見直していく。

そのような診療を大切にしています。

寝酒が続いている方へ

「毎晩飲んでいます」
「飲まないと眠れる気がしません」
「本当は減らしたいけれど、減らせません」
「睡眠薬とお酒の関係が不安です」
「薬は怖いけれど、このままお酒で眠るのも不安です」

きれいに説明しようとしなくて大丈夫です。

寝酒が続いている。
睡眠薬は怖い。
でも、このまま毎晩お酒で眠るのも不安。

そのように感じた方は、
睡眠薬を飲むかどうかを決める前に、
まず今の睡眠と飲酒の状態を整理してみることが大切です。

保谷駅前こころのクリニックでは、
心療内科・精神科の診療の中で、
不眠や睡眠薬に関するご相談をお受けしています。

そのように感じた方は、まずWEB問診から、今の状態をお知らせください。

当院は完全予約制です。
ご記入いただいたWEB問診をもとに、医師が内容を確認し、当院で対応可能と判断した場合にWEB予約をご案内します。

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