2026年4月28日
大切なペットを失って眠れない、夜に涙が出る、動悸がする方へ。ペットロスによる不眠の理由、今夜できる対処、心療内科に相談する目安を保谷駅前こころのクリニックが解説します。
大切なペットを失ったあと、夜になると眠れない。
布団に入ると、あの子の姿が浮かぶ。
足音が聞こえたような気がする。
いつもの場所を見て、胸がぎゅっと苦しくなる。
「もっとできることがあったのでは」と、同じ場面を何度も思い返してしまう。
そのような夜が続くことがあります。
ペットロスで眠れないことは、決して珍しいことではありません。
ペットは、単に一緒に暮らしていた存在ではなく、生活のリズム、安心感、帰る理由、朝起きる理由になっていることがあります。
その存在を失ったとき、こころだけでなく、体にも反応が出ることがあります。
眠れない。
途中で目が覚める。
朝早く起きてしまう。
食欲が落ちる。
動悸がする。
仕事や家事に集中できない。
こうした状態は、「気持ちが弱いから」起こるものではありません。
大切な存在を失ったあとに起こる、こころと体の自然な反応です。
ただし、眠れない状態が続くと、悲しみに向き合う力そのものが削られてしまうことがあります。
この記事では、ペットロスで眠れないときに起こりやすいこと、今夜できる工夫、心療内科に相談する目安、カウンセリングで扱えることについてお伝えします。
ペットロスで眠れないのはなぜですか
ペットロスによる不眠には、いくつかの理由があります。
生活リズムが急に変わる
ペットと暮らしていると、生活の中に自然なリズムができます。
朝のごはん。
散歩。
トイレの確認。
帰宅したときの出迎え。
寝る前の声かけ。
その一つひとつが、実は生活を支えていたことがあります。
そのリズムが急になくなると、体内時計も気持ちも乱れやすくなります。
特に夜は静かになるため、喪失感が強く出やすい時間です。
夜になると、思い出が浮かびやすい
昼間は、仕事や家事、学校、予定で何とか動けている。
けれど、夜になると急に涙が出る。
布団に入ると、最期の場面が浮かぶ。
写真や動画を見始めると止まらなくなる。
これは、夜に刺激が少なくなり、こころが記憶や感情に向きやすくなるためです。
「忘れたいのに思い出してしまう」のではなく、
「大切だったから、思い出が強く残っている」と考えてよいことがあります。
自律神経が高ぶっている
深い悲しみや後悔、不安が続くと、体は緊張状態になります。
胸がざわざわする。
動悸がする。
息が浅い。
肩や首がこわばる。
布団に入っても、頭だけが動き続ける。
この状態では、体が休む準備に入りにくくなります。
眠りたいのに眠れない。
疲れているのに目が冴える。
ペットロスの不眠では、このような状態が起こることがあります。
今夜、まずできること
眠れない夜に大切なのは、無理に「早く寝よう」と自分を追い込まないことです。
眠ろうと頑張るほど、かえって眠れないことがあります。
1. 「眠らなければ」と考えすぎない
今日は眠れないかもしれない。
それでも、横になって体を休めるだけでもよい。
そう考えるだけで、少し緊張が下がることがあります。
眠れない夜に、自分を責める必要はありません。
2. 写真や動画を見る時間を決める
ペットの写真や動画を見ることは、悪いことではありません。
ただ、夜に見始めると、気持ちが大きく揺れて眠れなくなることがあります。
写真や動画を見るなら、できれば夜遅い時間ではなく、日中や夕方など、少し気持ちを戻しやすい時間にするのも一つの方法です。
3. 後悔が止まらないときは、短くメモに出す
「あのとき、こうしていれば」
「もっと早く気づいていれば」
「自分のせいではないか」
こうした考えが止まらないときは、頭の中だけで考え続けるより、短く紙に書き出すほうが落ち着くことがあります。
書く内容は、きれいにまとめる必要はありません。
今、浮かんでいる言葉をそのまま出す。
そして、「続きは明日の昼に考える」と区切る。
夜にすべて解決しようとしないことが大切です。
4. 布団の中で考え続けない
布団の中で何時間も考え続けると、布団そのものが「つらい場所」になってしまうことがあります。
しばらく眠れないときは、いったん起きて、照明を落としたまま静かに過ごすのも一つです。
温かい飲み物を少し飲む。
呼吸を整える。
短い文章を読む。
明日の予定を一つだけ決める。
眠気が戻ってきたら、また布団に戻ります。
5. 朝に少し光を浴びる
眠れない夜のあとも、朝の光を浴びることは大切です。
長く外に出る必要はありません。
カーテンを開ける。
ベランダに出る。
短く歩く。
それだけでも、体内時計を整える助けになります。
ペットロスによる不眠でよくある状態
ペットロスによる不眠は、人によって出方が違います。
寝つけない
布団に入っても、あの子のことを考え続けてしまう。
最期の場面が頭から離れない。
眠ろうとすると涙が出る。
このような入眠困難が起こることがあります。
夜中に何度も目が覚める
少し眠れても、夜中に何度も目が覚める。
目が覚めた瞬間に、喪失感が押し寄せる。
夜間覚醒も、ペットロスでは珍しくありません。
朝早く目が覚める
まだ眠れる時間なのに、早朝に目が覚める。
起きた瞬間に「あの子はいない」と感じてつらくなる。
朝の時間に悲しみが強く出る方もいます。
夢に出てくる
夢にペットが出てくることもあります。
会えてうれしい夢もあれば、目が覚めたあとに喪失感が強くなる夢もあります。
夢に出ること自体は、異常というわけではありません。
強い感情体験が、夢として現れることがあります。
日中の集中力が落ちる
眠れない状態が続くと、日中にも影響が出ます。
仕事に集中できない。
家事が進まない。
人と話すのがつらい。
普段ならできることに時間がかかる。
「生活は何とか続けているけれど、内側ではかなり消耗している」という状態です。
受診を考える目安
ペットロスは、すぐに「治す」ものではありません。
悲しみがあること自体は自然なことです。
涙が出ることも、思い出すことも、悪いことではありません。
ただし、次のような状態が続く場合は、一度相談してもよい段階です。
・数週間以上、眠れない状態が続いている
・仕事、学校、家事に支障が出ている
・食欲が落ちている
・動悸や強い不安がある
・涙が止まらない日が続く
・外出や特定の場所を避けるようになっている
・自分を責める気持ちが強い
特に、死にたい気持ちや自分を傷つけたい気持ちがある場合や、
安全の確保が必要なときは、救急、地域の相談窓口、身近な人への連絡などを優先してください。厚生労働省の「まもろうよ こころ」でも、電話相談窓口が案内されています。
心療内科でできること
ペットロスで心療内科に相談することに、抵抗がある方もいます。
「ペットのことで病院に行っていいのだろうか」
「人から大げさだと思われないだろうか」
「話したら泣いてしまうかもしれない」
そのように感じる方は少なくありません。
けれど、ペットロスはこころだけでなく、睡眠、食欲、動悸、不安、集中力など、体と生活に影響することがあります。
心療内科では、悲しみを無理に消すことを目標にするのではなく、生活を保ちながら、眠りや不安を少しずつ整えていきます。
睡眠を整える
まず大切なのは、眠りを整えることです。
眠れない状態が続くと、悲しみへの耐性が下がります。
考え方も悲観的になりやすくなります。
生活リズム、光の浴び方、寝る前の過ごし方を確認し、必要に応じて薬物療法を短期的に使うこともあります。
薬を使う場合も、目的は「悲しみを消すこと」ではありません。
眠れる状態をつくり、回復する力を支えるためです。
不安や動悸を整える
ペットロスのあとに、動悸、息苦しさ、胸のざわつきが出ることがあります。
これは、自律神経の反応として起こることがあります。
症状の強さや頻度を確認しながら、生活への影響を見ていきます。
気持ちを言葉にする
ペットロスでは、周囲に話しづらいことがあります。
「また飼えばいい」
「もう時間が経ったのに」
「たかがペットで」
そのような言葉に傷つき、さらに孤独になることもあります。
カウンセリングでは、悲しみを無理に前向きに変えるのではなく、まず今の気持ちを言葉にしていきます。
忘れるためではありません。
あの子との時間を大切にしたまま、今の生活を少しずつ取り戻すためです。
ペットロスカウンセリングで扱えること
ペットロスカウンセリングでは、次のようなテーマを扱うことがあります。
・最期の場面が忘れられない
・治療選択への後悔がある
・安楽死、看取り、急死、事故などを整理できない
・家族と悲しみ方が違って苦しい
・周囲に理解されない
・新しいペットを迎えることに罪悪感がある
・あの子を忘れてしまいそうで怖い
・命日や季節の変化でつらさが戻る
・夜になると涙が止まらない
・生活を立て直したいが、何から始めればよいかわからない
保谷駅前こころのクリニックでは、医師としての視点だけでなく、獣医師としての診療経験やお看取り経験も踏まえ、人と動物の関係、看取りの過程、喪失後のこころと体の反応を丁寧に見立てることを大切にしたグリーフケアを行なっています。院長紹介には、医師・獣医師・精神保健指定医・認定産業医などの資格や、睡眠薬ロゼレムの研究開発に携わった経歴が掲載されています。
自由診療のペットロスカウンセリングをご希望の方へ
通常の診療では、不眠、不安、抑うつ、動悸など、症状を中心に見立てていきます。
一方で、ペットロスでは、症状だけでは語りきれない部分があります。
どのように出会ったのか。
どのように暮らしてきたのか。
最期に何が起こったのか。
何を後悔しているのか。
どの思い出を大切にしているのか。
こうした内容を時間をかけて整理したい方には、自由診療のカウンセリング枠をご案内できる場合があります。
自由診療のカウンセリングでは、保険診療の短い診察時間では扱いきれないテーマを、より丁寧に扱うことを目的とします。医学、獣医学、心理学の視点から、あなたとあの子の物語を尊重しながら、眠り、日常生活、悲しみとの付き合い方を一緒に整えていきます。※自由診療は、公的医療保険は適用されません。
ご予約・WEB問診について
当院は完全予約制です。
受診を検討される方は、先にWEB問診をご入力ください。当院で対応可能な場合は、予約案内に進みます。
WEB問診では、次のような内容をご入力いただくと、診察や相談が進めやすくなります。
・ペットを亡くした時期
・犬、猫、うさぎ、鳥など、一緒に暮らしていた動物
・最期の経過
・眠れない状態がいつから続いているか
・寝つき、中途覚醒、早朝覚醒の有無
・食欲、体重、動悸、不安の有無
・仕事、学校、家事への影響
・後悔や自責の強さ
・カウンセリング希望の有無
・薬の相談を希望するか
・自由診療カウンセリングを希望するか
「うまく書けない」という状態でも問題ありません。
文章がまとまっていなくても、今の状態をそのまま入力してください。
問診に書くことで、診察前に少し気持ちが整理されることもあります。
眠れない夜が続いている方は、まずWEB問診で今の状態を整理してみてください。
当院サイト上でも、WEB問診・WEB予約の導線が設置され、完全予約制・WEB予約のみの運用が案内されています。
最後に
眠れるようになることは、あの子を忘れることではありません。
涙が減ることも、日常に戻ることも、裏切りではありません。
あの子と過ごした時間は、消えるものではありません。
ただ、今のあなたの生活が少しでも保てるように、眠りを整えることは大切です。
夜になるとつらい。
眠れない。
動悸がする。
仕事や家事を続けるのが苦しい。
そのような状態が続いているなら、ひとりで抱え込まなくて大丈夫です。
無理のない範囲で、少しずつ整えていきましょう。
眠れない夜が続いている場合は、まず今の状態をWEB問診に入力してください。
「うまく説明できない」という状態でも、そこから整理していくことができます。
保谷駅前こころのクリニック
