第335話 急行電車に乗るのが怖い方へ|各駅停車なら乗れるのに、途中で降りられないと不安になるとき|保谷駅前こころのクリニック|西東京市「保谷駅」北口すぐの心療内科

〒202-0004東京都西東京市下保谷4丁目14−20いなげや保谷駅前店2階

WEB問診・予約
保谷駅前こころのクリニックサブメインビジュアル

第335話 急行電車に乗るのが怖い方へ|各駅停車なら乗れるのに、途中で降りられないと不安になるとき

第335話 急行電車に乗るのが怖い方へ|各駅停車なら乗れるのに、途中で降りられないと不安になるとき|保谷駅前こころのクリニック|西東京市「保谷駅」北口すぐの心療内科

2026年5月18日

急行・準急に乗ると動悸や息苦しさが起こり、途中で降りられないことが怖い方へ。各駅停車なら乗れる理由、急行を避けることで生活範囲が狭くなる経過、心療内科へ相談する目安を解説します。

ホームに、急行電車が入ってきます。

これに乗れば早く着く。会社にも十分間に合う。

頭ではわかっています。

ドアが開く。前に並んでいた人が次々と乗っていく。

自分も一歩進む。

そこで、足が止まります。

「この電車は、次の駅に止まらない」

一度乗ったら、しばらく降りられない。そのことを考えた瞬間、胸が速く打ち始めます。

結局、乗らずに見送る。

少しして各駅停車が来ると、今度は乗ることができます。

時間はかかる。混雑もしている。それでも、次の駅で降りられると思うと、急行よりは安心できます。

電車そのものに乗れないわけではありません。

各駅停車なら乗れる。

けれど、急行や準急のドアが閉まることだけが、どうしても怖い。

急行のドアが閉まる直前

診察室で、こう話される方がいます。

「各駅停車なら普通に乗れるんです。でも、急行は乗れないんです」

「以前、急行の中で具合が悪くなったことがありますか」

「一度あります。次の停車駅までが、とても長く感じました」

「実際には何分くらいでしたか」

「わかりません。10分も20分も乗っていたような気がします」

実際の乗車時間と、そのとき本人が感じた時間は同じとは限りません。

動悸が始まり、「すぐには降りられない」と思うと、次の停車駅までの数分が非常に長く感じられます。

車内表示を見る。まだ駅名が変わっていない。窓の外を見る。電車は走っている。ドアは開かない。

その数分間に、何度も自分の心拍を確かめます。

急行が怖い方にとって、停車しない区間は、単なる移動時間ではありません。

「途中で何か起きても、逃げ出せない時間」になっています。

急行が怖いのではなく、降りる選択肢がないことが怖い

急行電車の速度や揺れそのものが怖いとは限りません。

「具合が悪くなったら、次の駅で降りればよい」

各駅停車では、この選択肢があります。

実際に降りるかどうかは別として、降りられると思えることが安心になります。

急行や準急では、その選択肢がしばらくありません。

逃げられない。止められない。自分ではどうにもできない。

その感覚が強くなると、身体にも反応が出ます。

心拍が上がる。呼吸が浅くなる。汗が出る。吐き気やめまいがする。手足がしびれる。

その身体の変化に気づき、「やはり乗るべきではなかった」と思う。すると、さらに不安が強くなります。

怖いのは急行電車という車両ではなく、苦しくなったときに、自分でその場を終わらせられないことなのかもしれません。

各駅停車なら乗れることは、大切な情報です

「各駅停車には乗れるので、パニック障害ではないと思っていました」

そう話す方がいます。

しかし、何に乗れるか、何に乗れないかという違いは、診療上とても重要です。

各駅停車なら乗れる。
ドアの近くなら安心する。
座れると症状が出にくい。
誰かと一緒なら急行にも乗れる。
帰りの急行は平気だが、朝は乗れない。

こうした違いを確認すると、その方が何を危険だと感じているのかが見えてきます。

単に人混みが苦手なのか。途中で降りられないことが怖いのか。遅刻できない朝だけ緊張が強いのか。以前起きた発作と同じ状況を避けているのか。

「各駅停車なら大丈夫」は、症状が軽いという意味だけではありません。

不安が強くなる条件と、まだ保たれている行動範囲を知るための手がかりになります。

一本見送るだけだったはずが

最初は、急行を一本見送るだけでした。

各駅停車でも会社には間に合う。少し早く家を出ればよい。それで生活は成り立ちます。

ところが、次第に必要な条件が増えてくることがあります。

準急も避ける。
混雑した各駅停車も見送る。
ドア付近が空いていなければ乗らない。
遅延している日は電車を諦める。
休日の外出でも、急行へ乗らない経路を探す。

以前は目的地に合わせて電車を選んでいたのに、いつの間にか、急行を使わずに行ける場所から目的地を選ぶようになります。

本人は、まだ電車に乗れています。

しかし、行ける場所と使える時間が、少しずつ狭くなっています。

急行を見送る回数ではなく、急行を避けるために諦めた予定を見る。

現在の負担を考えるうえで、大切な視点です。

毎日、各駅停車で通えばよいのか

各駅停車を利用して無理なく生活できているなら、急いで急行へ乗る必要はありません。

「慣れれば大丈夫」と考えて、無理に混雑した急行へ乗ることで、強い発作を繰り返す場合もあります。

一方、急行を避けるために極端に早く家を出る、通勤時間が大幅に長くなる、遅刻や欠勤が増える、遠出や旅行を諦めるようになった場合には、回避による負担も考える必要があります。

各駅停車を使うことが生活上の選択なのか。

それとも、急行へ乗れないため、ほかの選択肢を失っているのか。

外から見れば、どちらも「各駅停車へ乗っている」だけです。しかし、本人の自由度はまったく違います。

診察では、急行へ乗れるようにすることだけを目標にはしません。

現在の生活で、何に困っているのか。仕事や学校を続けるうえで、どこまで行動範囲を取り戻したいのか。

その方の必要性に合わせて考えます。

息苦しいときに、吸いすぎてしまうことがある

急行の中で息苦しくなると、何度も大きく息を吸おうとする方がいます。

空気が足りないように感じるためです。

ところが、すでに呼吸が速くなっている状態で深い呼吸を繰り返すと、めまいや手足のしびれが強くなる場合があります。

無理に大量の空気を吸おうとするより、まず細く、ゆっくり吐く。吐いたあと、次の息が自然に入ってくるのを待つ。

それだけで必ず発作が止まるわけではありません。それでも、「息を吸わなければ」という焦りを小さくできることがあります。

ただし、呼吸法を完璧に行わなければ急行に乗れない、と考え始めると、呼吸法そのものが乗車の条件になります。

対処法をうまく行うことよりも、身体の変化が出た瞬間に「もう無理だ」と決めつけないことが大切な場合もあります。

身体の病気を除外することも必要です

急行電車の中で起きる動悸や息苦しさであっても、不安だけが原因とは限りません。

不整脈、貧血、甲状腺機能の異常、低血糖、喘息などでも似た症状が出ます。睡眠不足、脱水、カフェイン、飲酒、服用中の薬が関係する場合もあります。

特に、これまでにない強い胸痛、失神、冷汗、運動中にも起きる動悸などがあれば、パニック発作と自己判断せず、まず内科や救急医療機関で確認してください。

内科的な検査で大きな異常がなく、急行や準急など「途中で降りられない場面」で繰り返し症状が出る場合には、パニック発作や予期不安の可能性を考えます。

薬を飲めば急行に乗れるのか

「急行に乗る日だけ、薬を飲めばよいのでしょうか」

診察で聞かれることがあります。

パニック症状に使う薬には、性質の異なるものがあります。

比較的速く不安を軽減する一方で、連用や依存に注意が必要な薬もあります。依存性を生じにくく、発作の起こりやすさや予期不安を時間をかけて調整する薬もあります。

すべての方が薬を必要とするわけではありません。また、急行へ乗る直前だけ、自己流で薬を使い続けることが適切とも限りません。

どの場面で症状が出るのか。各駅停車ではどの程度乗れるのか。回避する電車や外出が増えているか。睡眠や仕事へ影響しているか。

そのうえで、薬を使用する利点と不利益を考えます。

薬を飲むか、我慢して乗るか。その二つだけが選択肢ではありません。

まだ各駅停車に乗れている今、相談してよい

急行や準急には乗れない。ただ、各駅停車を使えば仕事へ行けている。

そのため、完全に電車へ乗れなくなるまで受診を先延ばしにする方がいます。

しかし、急行を避けるために毎朝かなり早く家を出ている。出張や外出を断るようになった。翌日の電車を考えて眠れない。以前より行ける場所が減っている。

そうした変化があるなら、相談してよい段階です。

完全に電車へ乗れなくなる前であれば、仕事や生活を続けながら治療を考えられる場合があります。

目標は、必ず急行へ乗れる人になることではありません。

急行へ乗れない不安のために、仕事や生活の選択肢まで失わないようにすることです。

急行や準急に乗るのが怖い方へ

当院は完全予約制です。

ご記入いただいたWEB問診を医師が確認し、当院で対応可能と判断した場合にWEB予約をご案内します。WEB問診への記入だけで、予約が確定するわけではありません。

WEB問診には、急行・準急・各駅停車のどれで症状が出るのか、途中下車の有無、内科での検査歴、遅刻や欠勤、睡眠への影響、現在服用している薬などを具体的にご記入ください。

小規模クリニックで診療枠が限られているため、症状の重さ、安全性、診療体制などにより、すべてのご相談をお引き受けできるわけではありません。

保谷駅前こころのクリニックは、保谷駅北口の階段を降りた目の前、いなげや保谷駅前店2階にあります。平日は夜まで、日曜・祝日も診療しています。

各駅停車なら通勤できる。ただ、途中で降りられない急行や準急を考えると動悸や息苦しさが出る。

そのような方は、現在乗れる電車と避けている電車、仕事や生活への影響をWEB問診からお知らせください。

保谷駅前こころのクリニック

TOP