2025年12月02日
年齢を重ねると、からだの代謝や腎臓・肝臓の働きが変わってきます。
若いころと同じ量の薬でも、効き方が強くなりすぎてしまうことがある──これは、高齢者の薬を考えるうえで、とても大事なポイントです。
とくに注意が必要なのが、鎮静作用のある薬です。
睡眠薬・抗不安薬・抗精神病薬・抗てんかん薬などは、効きすぎると、ふらつき・ねむけ、ぼんやりして反応が遅くなる、トイレに立ったときに転びやすくなる、といった副作用につながり、転倒・骨折のリスクを高めてしまうことがあります。
処方する側が、高齢者への使用経験が少ない場合、「とりあえず一般的な量」で出してしまうこともゼロではありません。しかし、高齢者では本来、通常量の半分から慎重にくらいのスタートが必要になるケースも少なくありません。
一方で、飲んでいるご本人やご家族にとっては、「この薬、何のために飲んでいるのか」、「量は多いのか少ないのか」、「眠気やふらつきは薬のせいなのか、年齢のせいなのか」が、なかなか分かりにくいのが現実です。
そして、不安はあっても、どこから聞けばいいのか分からないという声をよく耳にします。
そんなときは、高齢者に対する処方経験が豊富な医師・医療機関に相談することが、
ご本人・ご家族の悩みの解決に近づく可能性が高くなります。
特に、抗てんかん薬、抗精神病薬といった薬は、
用量調整や副作用の見極めに経験が必要なことが多く、
高齢者への投与に慣れている医師にかかることがとても大切です。
「このまま飲み続けていて大丈夫なのだろうか」
「何となく、前より転びやすくなった気がする」
そんな違和感があるときには、必要に応じて、高齢者医療や精神科領域に詳しい医師にセカンドオピニオンを求めるという選択肢もあります。
薬は、敵ではなく、本来は味方です。ただし高齢者では、「量」と「種類」と「組み合わせ」を少し間違えるだけで、生活の質を下げてしまい、さらに家族の心配まで増やしてしまうこともあります。
「本当に今の量でいいのか」
「この眠気やふらつきは、薬と関係していないか」
そんな視点から、高齢の方の内服について、一緒に見直していくことが大切だと思います。
保谷駅前こころのクリニック
