第68話「メタバースとアバター──次世代のこころのケア」|保谷駅前こころのクリニック|西東京市「保谷駅」北口すぐの心療内科

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第68話「メタバースとアバター──次世代のこころのケア」

第68話「メタバースとアバター──次世代のこころのケア」|保谷駅前こころのクリニック|西東京市「保谷駅」北口すぐの心療内科

2025年12月16日

朝、駅に向かうだけで胸が苦しい。職場の通知が鳴るだけで手が止まる。人と会う前に頭の中で反省会が始まり、眠れない。そんな状態のとき、「現実のままの自分」で人と関わることは、想像以上に負担になります。

ここで、メタバースアバターがどのような効果があるのか考えてみたいと思います。
メタバースは、ネット上のもうひとつの場所。家にいながら、誰かと同じ空間にいるような体験ができます。
アバターは、その場所でのもうひとつの自分の姿。見た目や雰囲気を借りて、あなたの代わりに前に立ってくれます。そしてVRは、その体験をより現実に近い感覚で味わえる技術です。目の前に空間が広がり、距離感や臨場感が強まります。

メンタルがしんどい時期、アバターはこころの防波堤になることがあります。対面の目線や評価から少し距離を取り、「拒絶されるかもしれない」という恐さを弱めながら、つながりを保てる。いきなり現実で頑張るより、負荷の低い形で呼吸を取り戻す――その順番が合う人もいます。

そして今、メタバースやVRは娯楽だけでなく、医療にも取り入れられる可能性も語られています。たとえば、外出が難しい時期の孤立予防、対人不安のある方が段階的に人との距離に慣れていく練習、リハビリの継続を助ける仕組みなどです。現実を置き換えるのではなく、回復の足場を増やす「道具」として期待されています。

医療は「無理に外へ引っ張る」ためではなく、戻れる体力を一緒に作るためにあります。次世代のこころのケアは、技術で気持ちを置き換えることではなく、あなたが息を取り戻す選択肢を追加して増やすことだと思います。

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