2025年12月23日
大切な家族を失いそうなとき、残りの家族のあいだで悲しみ方が違う。
あなたも悲しいのに、もっと深く沈んでいる家族がいて、「自分が支えなきゃ」と背中に重さが乗る。そんなご相談は少なくありません。
とくに、家族の誰かが強く落ち込んでいるとき、家の空気そのものが張りつめます。
「このまま家族が全滅してしまうんじゃないか」
そんな予期不安が、家族全体を覆ってしまうことがあります。
でも、まず知っておいてほしいことがあります。
悲しみの深さは、愛情の順位ではありません。
涙の量も、立ち直りの早さも、「大切な家族を大切に思っている証拠」を点数化するものではないのです。
深く悲しむ家族がいるときに起きやすい役割のねじれ
家族の誰かが深く沈むと、残された人は無意識に「世話役」「機能する役」を引き受けやすくなります。
その結果、残された人の悲しみは置き去りになります。
支える側ほど、静かに消耗していきます。
予期不安が家族を包むときのサイン
予期不安は、未来の喪失を先に体験してしまう反応です。
「弱いから」ではなく、危機に備えようとする脳の働きでもあります。
ただ、長く続くと家族の会話が安全確認ばかりになり、こころが休まらなくなります。
家族同士でも悲しみは形が違う
同じ喪失でも、悲しみの出方は違いがあります。
深く悲しむ家族は、「悲しみ」だけでなく「罪悪感」や「自責」「孤立」が絡んでいることもあります。
だから周りが「元気出して」と励ますほど、さらに一人になってしまうことがあります。
「支える人」が壊れないための、3つの小さな約束
あなたが家族のケア役を担うとき、守ってほしいラインがあります。
1) 介護にならない距離をつくる
24時間見張るように支えると、あなたの体力が先に尽きます。
できるだけ「時間」「役割」「連絡」を区切りましょう。
夜の声かけは1回まで、相談は夕食後の20分だけなど。
2) 言葉は解決より同席
「こうすればいい」よりも、
「つらいよね」「今いちばん怖いのはどこ?」
こうした気持ちの居場所を作る言葉のほうが、回復を助けることが多いです。
3) ひとりで背負わない設計にする
家族内で完結させようとすると、家族全体が息切れします。
家族外の支え(医療・カウンセリング・親しい友人・職場の制度)を早めに混ぜるのは、逃げではなく戦略です。
カウンセリングでできること
カウンセリングは「正しい悲しみ方」を決める場ではありません。
目的は、家族がそれぞれの悲しみを持ったまま同じ家で呼吸できるようにすることです。
そして何より、あなたを家族を支える役割から少し解放する。あなた自身の悲しみを、感じる時間を確保する。
そのための場所でもあります。
最後に
あなたも悲しい。
それに加えて、家族の悲しみまで抱えている。その重さは、思っている以上に大きいものです。
もし今、家の空気が張りつめて、眠れない・食べられない・会話が怖い、そんな状態が続いているなら。一度、あなたとご家族のために、整理する時間を取りに来てください。喪失の予感をなかったことにせず、家族がバラバラにならない道を、一緒に探せます。
保谷駅前こころのクリニック
