2026年1月11日
「眠れさえすればいい」——
本当は、そうじゃないのかもしれません。
眠りには、落ちるような眠りと、整う眠りがあります。
朝、起きたときに「まだ重い」「頭がぼんやりする」「感情が固い」。
そんな日が続くと、人はだんだん 生理的な睡眠 を望むようになります。
からだが自然に夜へ向かい、朝に戻ってくる。そんな眠りです。
眠れない夜の正体は「ブレーキ不足」だけではない
不眠というと、脳の興奮が強すぎて眠れない——
つまり「ブレーキ(鎮静)が足りない」イメージを持つ方が多いかもしれません。
でも実際には、眠れない夜にはもう一つの力が関わります。
それが オレキシン です。
オレキシンは、脳の「覚醒を保つ」仕組みを支える物質。
日中の活動、集中、やる気にも関与します。
そしてこの覚醒スイッチが夜になっても切れにくいと、体は疲れているのに、眠りに入れなくなります。
オレキシン受容体拮抗薬は「眠らせる」より「覚醒をほどく」
オレキシン受容体拮抗薬は、ざっくり言うと
覚醒のスイッチを弱めて、自然な眠りの流れに戻しやすくする 薬です。
強い鎮静で気絶のように落とすというより、
「夜になったら眠りに入れる身体の状態」を作るイメージに近い。
だからこそ、
眠りに入れない(入眠困難)
夜中に何度も覚醒する(中途覚醒)
朝早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)
こうしたタイプの不眠で、選択肢になることがあります。
「生理的睡眠を望むこころ」が求めているもの
睡眠薬への抵抗感がある方は、実は少なくありません。
翌朝が残るのが怖い
依存が心配
飲み続けることに罪悪感がある
できれば自然に眠れるようになりたい
こうした気持ちは、とても自然です。
そしてその背景には、「ただ眠る」ではなく 回復する眠りを取り戻したいという願いがあります。
オレキシン受容体拮抗薬が合う方は、この回復を大切にしていることが多い印象があります。
ただし、万能ではありません(合う・合わないがあります)
どんな薬にも向き不向きがあります。
オレキシン受容体拮抗薬も例外ではありません。
たとえば、
生活リズムの大きな乱れ
アルコール(寝酒)
いびき・睡眠時無呼吸
強い不安・抑うつ
痛み、むずむず脚、頻尿
服薬中の薬の影響
こうした要因が強いときは、薬を変える前に「眠りを邪魔している原因」を先にほどく必要があります。
逆に、原因が整理できると、薬の選択もきれいに当たっていきます。
当院での進め方:薬の話の前に、眠りの地図をつくる
当院では「とりあえず眠れる薬」を増やす前に、まず眠りを整理します。
眠れない型(入眠/中途覚醒/早朝覚醒)
就寝・起床時刻、昼寝、光の浴び方、カフェイン
寝酒の有無
いびき・無呼吸の可能性
不安・抑うつ、ストレス状況
体の症状(動悸、痛み、頻尿など)
その上で、必要に応じて「オレキシン受容体拮抗薬という選択」を含め、あなたに合う形を一緒に探します。
WEB問診で、診療が具体的になります
受診前にWEB問診で、次の点を書いてください。
眠れない型(寝つけない/途中で起きる/早く起きる)
就寝・起床時刻、休日のずれ
寝酒・カフェイン・昼寝
いびき、日中の眠気
服用中の薬
短い診察時間でも、夜の状況が立体的に見えるようになります。
眠りは、あなたのこころの土台です。
「眠れる」だけでなく、「回復する睡眠」を望む気持ちは、決してわがままな願いではありません。
もし今、眠りが整わない状態が続いているなら。
オレキシン受容体拮抗薬という選択も含めて、一度いっしょに整理してみませんか。
保谷駅前こころのクリニック
