2026年1月06日
起床直後の動悸・息苦しさ・不安は気のせいではないかもしれません。自律神経の反動や睡眠の断片化のしくみ、受診の目安と治療の進め方を解説します。
直後に、動悸や息苦しさ、不安がふっと立ち上がってくる——そんな朝を過ごしている人も多いかもしれません。
「理由がないのに胸がざわつく」
「息が浅い」
「このまま倒れるのではと怖くなる」
周りからは普通に見えるのに、内側だけが追い立てられている。そんな感覚が続くと、「自分だけがおかしいのでは」と感じてしまうこともあります。
でも、こうした不安や動悸は、気のせいと片づけられるものではありません。
からだの側から見れば、起きていることには、きちんとしたしくみがあります。
起床直後の不安・動悸が強くなるしくみ(自律神経と反動)
日中、緊張や不安を抑えながら動けているとき、体は交感神経が優位になりやすく、心拍が上がり、呼吸が浅くなり、筋肉もこわばります。
本来は、夜に休息をとることで副交感神経へ切り替わり、翌朝は少し軽くなるはずです。
ところが、ストレスが続いたり、「頑張って抑える」状態が続いたりすると、切り替えがうまくいかなくなることがあります。
いわば、抑制に寄せた分の揺り戻しが、静かな時間(夜〜朝)に出てくる。これが、起床直後の不安・動悸として感じられることがあります。
睡眠の断片化があると、朝の不安が立ち上がりやすい
睡眠は「意識が落ちる時間」ではなく、脳と自律神経が整う時間です。
しかし、過覚醒(頭が休まらない状態)があると、睡眠が浅くなったり、途中で目が覚めたり(睡眠の断片化)しやすくなります。
睡眠が断片化すると、夜のあいだに緊張が十分に下がりきらず、朝の目覚めと同時に交感神経が跳ね上がりやすい。
その結果として、起床直後の動悸・息苦しさ・漠然とした不安が出てくることがあります。
「朝だけ調子が悪い」は、怠けではなく、回復が追いついていないサインの一つです。
受診を考えてよいサイン
不安や動悸の背景は一つではありません。身体の病気、薬やカフェイン、ホルモン、貧血、睡眠時無呼吸なども含めて整理が必要です。
そのうえで、心療内科・精神科で整理してよい目安は次の通りです。
不安・動悸が2週間以上続いている、または頻度が増えている
眠りが浅い/途中で目が覚めるなど、睡眠障害が重なっている
「また起きたらどうしよう」という予期不安が強くなっている
生活(仕事、通勤、家事)に支障が出てきた
市販薬・お酒・カフェインで何とかしようとする日が増えた
※強い胸痛、失神、片側の麻痺、呼吸困難が強い、急激な悪化などがある場合は、まず救急や内科的評価が優先です。
医療的に何をするか:安心につながる「整理」と「組み立て」
診察で大切にするのは、いきなり結論を決めることではなく、順番にほどいていくことです。
1)症状のパターン化
「いつ」「どんな場面で」「どれくらい」「何が引き金で」「何をすると軽くなるか」を整理します。
動悸・息苦しさ・めまい・吐き気などの身体症状と、不安の結びつきも見える化します。
2)睡眠の評価(断片化・過覚醒の確認)
入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、熟睡感の有無、日中の眠気、生活リズムを確認し、朝の不調と睡眠の関係を見立てます。
睡眠が整うだけで、不安の土台が軽くなることも少なくありません。
3)治療の3レーンを作る
生活面:光・運動・カフェイン・寝床での過ごし方など、整え方の具体策
心理面:不安のループ(「症状→恐怖→さらに症状」)を弱める工夫
薬物療法:必要性・期間・副作用・やめ方まで見通しを持って提案
「薬だけ」「我慢だけ」に偏らないことで、安心感が生まれやすくなります。
後半の2つ(睡眠の整えと不安ループの弱め方)を具体化できると、朝の不安・動悸は、少しずつ「説明できる症状」に変わり、振り回されにくくなっていきます。
ここで初めて、「気のせいではない」を、体感として取り戻せることがあります。
いま抱えている不安が長く続くほど、ひとりで抱える時間も長くなります。
もし「この状態を一度整理したい」と感じたら、受診することはあなたの弱さではなく、回復のための手段です。
起床直後の動悸・息苦しさ・不安、睡眠障害、パニック発作(不安発作)も含めて、安全に見立て、治療の道筋を一緒に組み立てます。
保谷駅前こころのクリニック
