2026年9月11日
家を出る前に、トイレへ行く。
靴を履いたところで不安になり、もう一度行く。
駅に着いてからも、改札を通る前にトイレへ寄る。
さっき行ったばかりなのに、「電車の中でお腹が痛くなったら」と考えると、そのままホームへ向かえない。
各駅のトイレがある場所を覚えている。
急行は避け、途中で降りやすい各駅停車を選ぶ。
腹痛に備えて、必要以上に早く家を出る。
遅刻はしていない。仕事も続けている。
それでも毎朝の通勤は、会社の時刻ではなく、トイレの場所を基準に組み立てられている。
この状態では、実際に起きている腹痛や下痢と、「途中で起きたら困る」という不安の両方を見ていく必要があります。
お腹と脳は、別々に動いているわけではありません
腹痛と、下痢や便秘などの便通異常を繰り返す病気の一つに、過敏性腸症候群があります。
過敏性腸症候群では、腸の動きや感覚と、ストレスに対する脳の反応が互いに影響します。緊張は頭の中だけで起こるものではなく、腸の動きとして現れることがあります。
たとえば、以前、電車の中で急にお腹が痛くなったことがある。
すると次の朝、まだ痛くなる前から「今日も起きるかもしれない」と身構える。
腸の小さな動きを早く察知する。
察知したことで、さらに緊張する。
実際に腹痛や便意が強くなる。
そして、「やはり電車は危ない」と感じる。
これは、症状が気のせいだという意味ではありません。実際のお腹の症状と、症状を予測する不安が、互いを強める循環ができることがあるのです。
通勤中に下痢をするだけで、過敏性腸症候群とは決まりません
腹痛や下痢には、感染症、炎症性腸疾患、甲状腺疾患、薬の影響など、別の原因が関係している場合があります。
血便、黒い便、発熱、夜中にも目が覚めるほどの下痢、意図しない体重減少、強い腹痛などがある場合には、ストレスのためと決めつけず、内科や消化器内科での確認を優先してください。
すでに診察や検査を受けている方は、検査結果、診断名、使用している薬をWEB問診にご記入ください。
身体の病気がないかを確認することと、ストレスや不安との関係を考えることは、どちらか一方を選ぶ話ではありません。両方の視点が必要です。
診察で確認するのは、便の回数だけではありません
診察では、腹痛や便通の状態に加えて、通勤がどのように変わったかを確認します。
家を出る前に、何回トイレへ行くのか。
排便すると腹痛は軽くなるのか。
平日の朝に強く、休日は軽いのか。
電車以外の外出でも同じことが起こるのか。
途中下車は週に何回あるのか。
急行を避ける、朝食を抜く、水分を控えるなど、症状を避けるために始めたことはあるか。
便の回数が同じでも、通勤に使う時間が30分増え、乗れる電車が限られ、外出先のトイレを常に確認しているなら、生活への影響は小さくありません。
一方、便通症状が多少残っていても、途中下車が減り、いつもの時刻に家を出られるようになれば、治療による大切な変化です。
治療では、症状の数だけでなく、通勤や生活の自由がどこまで戻ったかも見ていきます。
トイレを確認すること自体が悪いわけではありません
利用できるトイレを把握しておくことは、現実的な備えです。無理にやめる必要はありません。
ただ、その確認が増え続け、トイレのない場所を避け、食事や水分まで極端に制限するようになると、症状以上に生活範囲が狭くなることがあります。
治療の目的は、「絶対に腹痛を起こさないこと」だけではありません。
お腹の治療を続けながら、症状への不安を整える。必要に応じて薬物療法や心理的な治療を組み合わせる。そして、腹痛が起きる可能性をゼロにできなくても、毎朝の通勤を少しずつ取り戻していく。
その人の症状と生活に合わせて、現実的な目標を決めます。
消化器内科で確認したあとも、通勤への不安が残る方へ
「検査では大きな異常はありませんでした」
その説明を聞いて安心したのに、翌朝になると、また電車が怖くなる。
異常が見つからなかったことと、困りごとがなくなったことは、同じではありません。
保谷駅前こころのクリニックでは、消化器内科などでの診療内容を踏まえ、腹痛や下痢に伴う不安、通勤への影響、不眠などについてご相談をお受けしています。身体症状の状態によっては、内科や消化器内科での診療を優先または継続していただきます。
WEB問診には、次の3点をご記入ください。
・これまでに受けた検査と治療
・症状が出やすい曜日、時刻、場所
・途中下車、早出、食事制限など、通勤や生活に起きている変化
当院は、保谷駅北口から徒歩約30秒。平日は20時まで、日曜・祝日も診療しています。
完全予約制です。最初にWEB問診をご入力いただき、内容を確認したうえで、当院の診療体制で対応可能な方にWEB予約をご案内します。
「会社には行けています。でも、毎朝、トイレのことばかり考えています」
その段階から、相談してよい症状です。
保谷駅前こころのクリニック
