2026年10月01日
10月1日から、職場のカスハラ対策が義務化
仕事中に怒鳴られた。ネット上に、自分を傷つける言葉を書かれた。
その場では何とか対応したのに、帰宅すると相手の言葉が頭から離れない。布団に入っても、言い返せなかった場面を繰り返し思い出してしまう。
「もう終わったことなのに」と、自分を責めていませんか。
対応が終わった時刻と、安心して眠れるようになる時刻は、同じとは限りません。
2026年10月1日から、改正労働施策総合推進法により、事業主にカスタマーハラスメント対策が義務づけられました。相談窓口の整備や、被害を受けた従業員への配慮、再発防止などが求められます。
要求の内容や伝え方が社会通念上許容される範囲を超え、働く環境が害される場合には、カスハラに該当し得ます。電話やSNS上の言動も対象に含まれます。
職場に関係する誹謗中傷も、状況によってはカスハラにあたります。
被害直後は、説明を続けるより安全を確保する
怒鳴る相手を、その場で納得させようとする必要はありません。
職場であれば、責任者や相談窓口に連絡し、対応を引き継いでもらいましょう。
「一人では対応を続けられません。責任者に交代してください」
言葉が出にくいときは、この一言だけでも構いません。厚生労働省も、可能な限り従業員を一人で対応させないことなどを、対処の例として示しています。
暴力や差し迫った危険がある場合は、安全な場所へ移動して110番へ。
記録を残したら、一人で何度も読み返さない
落ち着ける場所に移ったら、日時、場所、相手の言葉、要求された内容、同席者を簡潔に記録します。
ネット上の書き込みは、削除される前に画面を保存し、投稿のURLも控えておきましょう。削除を求める際や、警察に相談する際の資料になります。
その後は、勤務先の担当者や信頼できる人と相談し、確認する役割や時間を決める方法があります。通知を切り、寝室では投稿を確認しないようにすることも、試せる工夫です。
証拠を残すことと、傷つく言葉を毎晩読み続けることは、分けて考えてよいのです。
削除依頼や法的対応は、投稿先の窓口、法務局の人権相談、弁護士などへ相談してください。医療では、被害後に生じた睡眠や体調の変化を扱います。
「仕事には行けるけれど、眠れない」段階でも相談を
被害後、次のような変化が続いていないでしょうか。
• 布団に入ると相手の言葉を思い出し、眠れない
• 夜中に目が覚め、投稿を確認してしまう
• 出勤前から緊張し、仕事に集中しにくい
い
眠れない、疲れやすい、こころが不安定といった状態が続くときは、一人で抱え込まず、早めに専門家へ相談することが勧められています。
相手との問題が解決するまで、受診を待つ必要はありません。
診察では、いつから眠れなくなったか、睡眠がどのように変わったか、仕事や生活にどの程度支障が出ているかを確認します。状態に応じて、睡眠の整え方や、不眠・不安に対する薬物療法などを検討します。
薬で相手の言動を変えることはできませんが、症状を和らげる治療を検討することはできます。勤務先による安全確保や対応の見直しも、並行して進めることが大切です。
相手の言葉に、今夜の眠りまで渡さないために
「気にしないようにする」だけでは、眠れない夜を乗り越えられないことがあります。
被害への対応を周囲に引き継ぎながら、自分の睡眠と体調にも目を向けてください。
保谷駅前こころのクリニックでは、不眠や不安などの症状について診療しています。WEB問診には、出来事の概要に加えて、「何日ほど眠れていないか」「日中にどのような支障があるか」をご記入ください。
当院は完全予約制です。WEB問診を医師が確認し、当院で対応可能と判断した方のみにWEB予約をご案内します。診療体制と予約枠には限りがあり、すべての方をお受けできるわけではありません。また、カスハラの方には上述の対応を取っています。
帰宅後も相手の言葉が頭から離れず、眠れない。そんなときは、睡眠の変化を受診のきっかけにしてください。
