第108話「人と動物のあいだにある、こころの話──あの子がいる日常と、いない日常」|保谷駅前こころのクリニック|西東京市「保谷駅」北口すぐの心療内科

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第108話「人と動物のあいだにある、こころの話──あの子がいる日常と、いない日常」

第108話「人と動物のあいだにある、こころの話──あの子がいる日常と、いない日常」|保谷駅前こころのクリニック|西東京市「保谷駅」北口すぐの心療内科

2026年1月07日

家に帰ると、ドアの向こうでもう足音がしている。
うちの子が玄関で待っている気配。。
それだけで、今日の疲れが少し吹き飛ぶ——そんな経験がある方は、きっと少なくありません。

人と動物の関係は、不思議です。
言葉で説明しなくても、こちらの状態を先に察してしまうことがある。
つらい日に限って、静かに寄り添ってくる。
うれしい日は、一緒にうれしそうにしてくれる。

この「言葉を介さない安心感」は、こころにとって、とても大きい支えになります。
そして同じくらい、その支えが突然なくなったとき——人のこころは大きく揺れます。

「いないのに、気配がする」ことがある

亡くなったあとに、足音がした気がする。
寝る前に、いつもの場所にいるはずと思って目が向いてしまう。
ふとした瞬間に、呼びかけそうになる。

こういう体験は、異常でも、弱さでもありません。
脳と心は、あの子がいた日常をすぐには手放せないからです。
日常のあちこちに、あの子の記憶が結びついていればいるほど、当たり前に起こります。

悲しみは、こころだけの反応ではない

ペットロスのあと、眠れない、食欲がない、胸が苦しい、動悸がする、胃腸が乱れる。
こうした「からだの症状」として現れる方もいます。

理由は単純で、こころとからだは別々ではないからです。
安心が減れば、緊張が増える。
緊張が増えれば、眠りは浅くなる。
眠りが浅くなるほど、悲しみは強く感じやすくなる。

この循環に入ると、「自分はおかしいのでは」と不安が重なってしまいます。
でも、そうではありません。いま起きているのは、自然な反応です。

「元気そうに見える」と「元気」は違う

周りからはこう言われることがあります。
「時間が解決するよ」
「また新しい子を迎えたら?」
悪気がないのは分かるけど、胸の奥が凍りついてしまう。

悲しみには、順番がありません。
泣けない日があってもいい。
急に泣ける日が戻ってきてもいい。
笑えたことに罪悪感が出てもいい。

あなたが大切にしてきた時間の分だけ、グリーフの反応は揺れ戻しを繰り返します。

相談していいサイン

・もし次のような状態が続くときは、ひとりで抱え込まないでください。

・眠れない日が続き、生活が回らない

・動悸・息苦しさ・吐き気などが強いのに、検査では異常がないと言われた

・仕事中にふいに涙が出そうになり、こらえるのがつらい

・「自分のせいだ」という考えが頭から離れない

・何も楽しめず、感情が固まってしまった感じがする

悲しみそのものを「治す」必要はありません。
ただ、悲しみがあなたの暮らしを壊してしまう前に、支えを増やすことはできます。
睡眠を整える、不安と身体反応の絡まりをほどく、罪悪感を少し言葉にしていく——そうした支援が、こころの回復を助けることがあります。

人と動物の間には、確かにこころの関係がある

人が動物を支えているようで、
実は、支えられているのはこちらだった——
そう気づく瞬間があります。

その関係は、病名では言い表せない。
けれど確かに、医療が寄り添える領域があります。

もし今、あなたのこころが揺れているなら。
その揺れは、あなたが「あの子」と結んできた時間の証です。
あなたの暮らしが回る形を一緒に探していきましょう。

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