2026年1月09日
「飲むと眠れる」。
その感覚は、嘘ではありません。
アルコールは、脳の興奮を鎮めるブレーキ役である GABA の働きに近い方向へ寄せます。緊張がゆるみ、頭の中のぐるぐるが止まり、眠りに入りやすくなる。だから、つらい日ほど手が伸びやすいのだと思います。
ただ、問題はここからです。
眠れたはずなのに、朝が重い。疲れが取れない。気分がザラつく。
この「回復できていない眠り」は、アルコールが睡眠の中身を変えてしまうことで起こることがあります。
「眠れる」の中身が崩れる
寝酒の眠りは、
夜の後半が浅くなりやすい(途中で目が覚める、夢が増える、早朝覚醒)
心拍が上がりやすく、体が休まりにくい
利尿作用で睡眠が分断される
いびき・無呼吸が悪化しやすい(本人は気づきにくい)
といった形で、寝たのに回復しないにつながりやすくなります。
さらに、アルコールが抜けてくるタイミングで反動が出ると、ブレーキ(GABA側)が弱まり、逆に覚醒・緊張が前に出やすくなります。
すると、動悸っぽさ/落ち着かなさ/不安の増加 が起き、翌朝がつらい。
そのつらさが、また次の夜の一杯を呼ぶ——このループが、静かに出来上がっていきます。
こんな夜が続くなら、相談のサインです
飲むと眠れるが、朝の疲れが抜けない
夜中に目が覚める/早朝に目が覚める
休肝日を作りたいのに不安で難しい
飲酒量・頻度・度数が少しずつ増えている
睡眠薬や抗不安薬と一緒に飲んでしまうことがある
ここまで来ると、意志の強さだけの話ではなく、脳と体の調整が必要な状態 になっていることがあります。
外来でできること:「責める」より「整える」
当院では、寝酒の相談を「やめなさい」で終わらせません。
あなたの睡眠がどの型か(入眠困難/中途覚醒/早朝覚醒)、不安やストレスの背景、生活リズム、薬との相互作用、いびき・無呼吸の可能性などを一緒に整理し、負担の少ない順序で整えていきます。
「飲まないと眠れないのが怖い」という怖さも、治療の前提として扱います。
来院前に:WEB問診が役に立ちます
WEB問診に、
飲む時間と量(週の回数、寝る何時間前か)
眠りの状態(寝つき/途中覚醒/早朝覚醒/夢の多さ)
起床時のつらさ(だるさ、不安、動悸)
を書いていただけると、診察が具体的になります。
眠れるのに、疲れが取れない夜。
その違和感は、あなたの弱さではなく、調整が必要になってきたサインかもしれません。
保谷駅前こころのクリニック
