2026年1月12日
「あの子」がいなくなってから、時間は進んでいるはずなのに、気持ちだけが取り残されたように感じる。
泣いてしまう日もあれば、何も感じない日もある。ふとした瞬間に胸が詰まり、呼吸が浅くなる。——それは、弱さではありません。
ペットロスは「大切な存在を失った悲しみ」です。
人のこころとからだは、喪失のあとにさまざまな形で反応します。そして、その反応が長引いたり、生活に支障が出てきたりするとき、心療内科/メンタルクリニックができることがあります。
受診を考えてよいサイン
次のような状態が続くとき、ひとりで抱え込まないでください。
• 眠れない/途中で目が覚める(夢が増える、朝がつらい)
• 食欲が落ちた/体重が減った、あるいは過食が続く
• 動悸・息苦しさ・胃腸不調など、検査では大きな異常がないのにしんどい
• 仕事や家事の集中が続かない、ミスが増える
• 涙が止まらない日が続く/逆に何も感じない状態が続く
• 罪悪感(もっとできたのに、あのとき…)が頭から離れない
• 外出が怖くなったり、人に会うのがつらくなったりして生活が狭くなる
•「いなくなったのに気配がする」「思い出が急に押し寄せる」などで日常が崩れる
悲しみ自体はグリーフという自然な反応です。
ただ、こころはときに「悲しむ」だけでは済まず、睡眠・自律神経・不安の回路が巻き込まれてしまうことがあります。そこを一緒に整えていくのが、医療の役割です。
「まだ早い」「こんなことで受診していいの?」への答え
受診は、悲しみを消すためのものではありません。
悲しみを抱えたままでも、あなたの生活が守られるようにするための選択です。
• 眠れない夜を減らす
• 動悸や不安の波を小さくする
• 罪悪感のループから少し距離を取る
• 仕事や家族生活を立て直す足場を作る
「泣かなくなる」ことが回復ではなく、日常が戻ることが回復のひとつの形です。
心療内科/メンタルクリニックで何をするのか
1) まずは状況整理(悲しみの地図を作る)
「いつから」「何が一番つらいか」「1日の中で波はあるか」
ここを丁寧に言語化します。悲しみは大きすぎると、うまく言葉になりません。医療の面接は、その言葉になる前の部分も含めて扱います。
2) 眠りと自律神経を整える
ペットロスで多いのは、睡眠の崩れと自律神経の乱れです。
眠りが崩れると、感情の回復力が落ち、思考が極端になりやすい。まず土台を作ります。
3) 不安・抑うつの評価と治療
喪失の反応の中に、
• 睡眠の治療(寝つき/中途覚醒/早朝覚醒などタイプ別に)
• 不安の治療(身体症状が強いときも含む)
• 気分の落ち込みへの治療(エネルギー低下、希死念慮の有無も確認)
• 心理的サポート(話すペース、扱うテーマは急がない)
• 生活リズムの再建(休日の過ごし方、食事、光、運動)
• 必要に応じてカウンセリングやリワーク/休職復職の相談
治療は「薬だけ」ではありません
症状と希望に合わせて、組み合わせます。
薬は「悲しみを消す薬」ではありません。
眠り・不安・身体症状のつらさを下げて、悲しみに向き合える体力を戻すために使うことがあります。
受診前に準備しておくと楽になること
全部できなくて大丈夫です。メモで十分です。
• つらさの中心(眠れない/動悸/罪悪感/涙など)
• いつから、どのくらいの頻度で起きるか
• 生活への影響(仕事、家事、対人関係)
• 服薬中の薬(他科も含む)
•「今日はここだけは相談したい」1つ
当院では、WEB問診を活用できるようにしています。
うまく話せる自信がない方ほど、文字で書くほうが整理しやすいことがあります。
こんなときは早めにご相談ください
• 眠れない日が続き、体力が落ちている
•「消えてしまいたい」など危険な気持ちが強い
• アルコール量が増えてきた(寝酒が習慣化した)
• 仕事に明確な支障が出て、欠勤やミスが増えている
※強い希死念慮や切迫した危険がある場合は、救急や地域の緊急窓口の利用も含め、最優先で安全確保をしてください。
最後に
悲しみは、あなたが「あの子」を大切にしてきた証拠です。
でも、その証拠と引き換えに、あなたの生活が壊れてしまう必要はありません。
心療内科/メンタルクリニックは、
悲しみの途中にいるあなたが、日常に戻るための手すりになれます。
もし今、ひとりで抱えているなら。
まずは「眠り」「不安」「からだのしんどさ」——いちばん困っているところから、一緒に整えていきましょう。
保谷駅前こころのクリニック
