2025年12月11日
最近、眠れない夜が続いていませんか。
布団に入っても頭の中だけが忙しく動いてしまう。
明日の仕事や家族のことを考えているうちに、気づけば外が明るくなっている──。
そんなときでも、「睡眠薬だけには頼りたくない」と感じる方は少なくありません。
診察室でも、「一度飲んだらやめられなくなりそうで怖い」「薬に頼るくらいなら、お酒を飲んで寝たほうがマシかな」そんな本音を伺うことがあります。ここでは、眠りのお薬との ちょうどいい距離感についてお話しします。
1. 「依存が怖い」という気持ちは、とても自然なこと
「睡眠薬=依存」と感じてしまうのは、ごく自然な感覚です。ただ、医学的に「依存」と呼ぶ状態は、飲まないと強い不安や手の震えなどが出てしまう、量がどんどん増えていく、薬やお酒が生活の中心になってしまうといった状況が続くことを指します。
眠れない夜がつらいから、医師と相談しながら、決められた量の薬を使う──
それは「依存」ではなく、自分を守るための治療のひとつです。
一緒に支えるのが、私たち医療側の役割でもあります。
2. 「寝酒」と睡眠薬──からだへの負担はちがいます
眠るためにお酒を飲む、いわゆる「寝酒」は、日本ではとても身近な習慣です。
けれど、お酒は、一時的に眠くなっても、夜中に目が覚めやすくなる、眠りが浅くなり、ぐっすり眠った感じがしにくい、肝臓や脳への負担が大きい、量が少しずつ増えやすく、依存症につながりやすいという面があります。
一方、現在よく使われている睡眠薬は、効き方や持続時間、翌朝の眠気の残り方、ほかの薬との相性などを考えながら、医師が種類と量を選びます。
副作用のリスクがゼロになることはありませんが、
「何を・どのくらい・どれくらいの期間使うか」を一緒に調整していくことで、
できるだけ安全に、こころとからだの休息を守ることができます。
3. 「一生やめられない薬」ではありません
睡眠薬を飲み始めると、「これを飲み続けないと、もう一生眠れないんじゃないか」と不安になる方も多いです。
実際には、仕事や家庭のストレスのピークが過ぎた、うつや不安の症状が落ち着いてきた、生活リズムや睡眠習慣が整ってきた、こうした変化に合わせて、少しずつ減らしていったり、卒業していく方もたくさんいます。
大切なのは、自己判断で急にやめたり、増やしたりしないこと。「そろそろ減らせるかな」「まだ必要かな」といった判断を、医師と一緒に考えていくことで、安心して次のステップに進みやすくなります。
4. 薬だけに頼らない、眠りのチームプレー
眠れないまま朝を迎える日が続くと、こころもからだも、少しずつ削られていきます。
睡眠薬は、「飲むか・飲まないか」の二択ではなく、生活リズムやストレスケアと並んで、眠りを支えるチームの一員のような存在です。
就寝・起床の時間を、毎日なるべくそろえる、朝、できれば少し外に出て光を浴びる、寝る前のスマホやカフェインを控えめにする、日中の不安やモヤモヤを、誰かに話して整理する、こうした工夫を少しずつ積み重ねながら、必要な時期だけ睡眠薬の力を借りる。それは、自分のこころとからだを大事に扱う選択と言っていいと思います。
もしあなたが今、「睡眠薬が怖いけれど、このまま眠れないのもつらい」「お酒に頼る習慣から抜け出したい」そう感じているなら、一度ご相談ください。
保谷駅前こころのクリニックは、保谷駅北口から歩いてすぐの場所にあります。
雨の日や仕事帰りでも立ち寄りやすく、「この先も通い続けられそうかな」という現実的な通いやすさも、大切にしたクリニックです。
「薬を飲む・飲まない」だけではなく、あなたの生活や背景も含めて、いちばん負担の少ない眠りの整え方を、一緒に考えていきます。
「本当に眠れなくてつらくなったときに、ふっと立ち寄れる場所」として、保谷駅前こころのクリニックを思い出していただけたらうれしく思います。
保谷駅前こころのクリニック
