2025年12月14日
大切な存在を失ったあと、こころが深く傷つきやすい人がいます。
いわゆる HSP・敏感な気質 を持つ方は、まわりの音や人の表情だけでなく、「喪失」という出来事そのものも、とても強く受け止めてしまいます。
とくに、ペットロス・グリーフケアの場面では、「もっとこうしてあげればよかった」「私の選択が間違っていたのでは」「東京にはもっと良い動物病院があったのでは」と、後悔や自責の思いが心の中で何度も再生されてしまうことがあります。
HSPの方には、表情や声のトーンの変化に敏感、小さな変化にもすぐ気づく、相手の痛みや不安を自分のことのように感じやすいという特徴があります。
それは「弱いから」でも「気にしすぎ」だからでもありません。
むしろ、あの子の小さな変化に気づき、丁寧に寄り添ってきた優しさの証です。
そのぶん、喪失のショックも人一倍大きく、グリーフ(悲嘆)が長引きやすいのです。
喪失から時間が経っていても、次のような状態が続くときは、こころがかなり疲れています。
ささいな音や光にもびくっとする、人と会ったあとはぐったりしてしまう、あの子のことを考え始めると止められない、仕事や家事のミスが増える、東京の人混みや電車が、以前よりつらく感じる
これは「甘え」ではなく、こころのエネルギーが底をつきかけているサインです。
HSP気質の方へのグリーフケアでは、
無理に「前向きになりましょう」と急かさない、悲しみ・怒り・後悔などの揺れる感情を、そのまま言葉にする、生活リズムや睡眠を整え、こころの土台となるからだを回復させることがとても大切です。
心療内科でのグリーフケアは、薬だけに頼るものではありません。
必要に応じて少量の薬で睡眠を支えつつ、丁寧な対話を通して、
「繊細な自分だからこそ、この喪失とどう生きていくか」を一緒に探していくプロセスだと思います。
保谷駅前こころのクリニック
