2025年12月15日
葬儀が終わった瞬間、ふっと力が抜けて、急に涙が止まらなくなる。
夜になると胸が苦しくなり、眠れない。食欲が出ない。
「終わったはずなのに、どうして今さら?」と戸惑う方は少なくありません。
でもそれは、異常ではなく、とても自然な反応です。
葬儀までは「やること」で心が支えられている
葬儀の前後は、決めること・連絡すること・動くことが続きます。
人は強い緊張の中にいると、体が非常モードになります。
いわば、アドレナリンで踏ん張っている状態です。
この期間は、悲しみを感じないわけではなく、
感じる前に「こなすべきこと」が次々に来る。
だから、涙が出ない人もいます。
終わったあとに来るのが「反動」
葬儀が終わり、静けさが戻ったとき、
非常モードを支えていた力がすっと抜けます。
すると、体とこころはこう言うように反応します。
「もう安全になったから、いま悲しんでいいよ」と。
それが、葬儀後に急につらくなる理由です。
遅れてくる悲しみ、反動、疲労。
どれもあなたがおかしいのではなく、
こころがようやく反応できる段階に入った、ということです。
こんな症状が出ることがあります
悲しみは、感情だけでなく、体にも出ます。
「がんばらなくていいサイン」を見逃さないで
葬儀後は、周りから見ると一区切りに見えます。
でも当事者の中では、むしろここからが本番になることがあります。
もし、日常生活が回らないほどの不眠や不安が続く、
仕事に行けない、体重が落ちる、動悸が強い、
そんな状態が2週間以上続くときは、医療に頼ってください。
グリーフは、心療内科で話していいテーマです。
大切な存在を失ったあとの不調は、治療の対象になり得ます。
最後に
葬儀のあとに急につらくなるのは、
あなたが弱いからではありません。
アドレナリンで踏ん張っていた心と体が、
ようやく「休んでいい」と感じ始めた反応です。
いまは、できることを小さく。
眠る、食べる、温かい飲み物をひと口。
そして、ひとりで抱え込まないこと。
つらさは、言葉にしていいのです。
保谷駅前こころのクリニック
