2026年1月22日
「休職したほうがよいのか分からない」
「休むことになったけれど、何をすればよいのか分からない」
「復職の日が近づくほど、不安が強くなる」
休職中のつらさは、症状だけではありません。
いま自分がどの段階にいて、次に何をすればよいのか分からない。その見通しのなさが、焦りを強くすることがあります。
休職は、ただ仕事を休むだけの期間ではありません。
崩れた睡眠と生活を立て直し、再び働くための「回復の地図」を作る時間です。
休職は「逃げ」ではなく、治療上の選択肢です
眠れない。
朝になると動悸や吐き気がする。
通勤電車に乗れない。
仕事中に考えがまとまらない。
このような状態でも、責任感が強い方ほど「自分が弱いだけ」「もう少し頑張れる」と考えます。
しかし、症状が強いまま勤務を続けることで、さらに睡眠が崩れ、集中力や判断力が低下し、回復までに時間がかかる場合があります。
休職は、仕事から逃げるためのものではありません。
現在の勤務をいったん止め、治療と休養に必要な時間を確保するための選択肢です。
「回復の地図」で整理する4つのこと
回復の道筋は、一人ひとり異なります。
それでも、現在地を知るために整理しておきたい共通の項目があります。
1.現在起きている症状
まず、何がどの程度つらいのかを整理します。
・眠れない、途中で何度も目が覚める
・朝、布団から起き上がれない
・動悸、吐き気、息苦しさがある
・気分の落ち込みや涙が続いている
・集中できず、仕事のミスが増えた
・食欲が落ちた、または食べ過ぎる
・休日も疲労が取れない
「つらい」という言葉だけではなく、睡眠、食事、身体症状、仕事、日常生活に分けることで、現在の状態が見えやすくなります。
2.症状が強くなった背景
症状が始まった時期と、その前後に起きた変化を確認します。
業務量の増加、配置転換、職場の人間関係、長時間労働、育児や介護、家族の病気、喪失体験など、複数の負担が重なっていることもあります。
ただし、受診の目的は、職場で誰が正しいかを判定することではありません。
何が症状を悪化させ、どのような環境で負担が強くなるのかを医学的に整理します。
3.身体的な原因が隠れていないか
強い疲労感、動悸、眠気、集中力低下は、こころの不調だけで起きるとは限りません。
貧血、甲状腺機能の異常、睡眠時無呼吸症候群、服用している薬の影響など、身体的な要因を確認する必要がある場合もあります。
症状によっては、内科や睡眠専門医療機関などへの受診が適していることがあります。
4.回復のどの段階にいるのか
休職直後と、復職を検討する時期では、必要なことが異なります。
まだ強い不眠や動悸がある時期に、復職準備を急いでもうまく進みません。
いまは休む段階なのか。
生活を整える段階なのか。
活動量を戻す段階なのか。
復職に向けた確認を始める段階なのか。
現在地を間違えないことが、回復を急ぎすぎないために重要です。
回復の第1段階:まず仕事から離れて休む
休職直後は、仕事から離れても緊張が抜けないことがあります。
会社から連絡が来ていないか何度も確認する。仕事の遅れが気になり、頭の中で業務を続けてしまう。休んでいることへの罪悪感から、自分を責める。
この時期に必要なのは、すぐに規則正しい生活を完成させることではありません。
まず睡眠と食事を確保し、身体と頭の緊張を下げることを優先します。
休職した翌日から、運動、資格勉強、家事をすべて完璧に始める必要はありません。
回復の第2段階:生活の土台を整える
強い緊張や疲労が少し落ち着いてきたら、生活リズムを整えていきます。
・起きる時刻を大きくずらしすぎない
・朝に光を浴びる
・食事の時間を整える
・無理のない範囲で外へ出る
・日中と夜間の区別をつける
・昼寝が長くなりすぎないようにする
大切なのは、すべてを一度に実行することではありません。
その日の状態に合わせて、続けられる範囲から始めます。
回復の第3段階:日中の活動を戻す
生活リズムが整ってきたら、少しずつ日中の活動量を増やします。
短時間の外出、買い物、読書、家事などを行い、その後にどの程度疲れるかを確認します。
一日活動した翌日に寝込んでしまう場合は、まだ負荷が大きすぎる可能性があります。
回復は、「できたか、できなかったか」だけで判断するものではありません。
何かをしたあと、どのくらいで疲労から戻れるか。
それも回復を測る大切な目安です。
回復の第4段階:復職できる状態かを確認する
気分が少し良くなったことと、仕事へ戻れることは同じではありません。
復職を検討するときには、次のような点を確認します。
・平日の勤務時間に近い時刻に起きられる
・日中に継続して活動できる
・読書や事務作業に集中できる
・外出や電車移動のあとに大きく崩れない
・仕事を思い浮かべても症状が急激に悪化しない
・数日間活動しても、生活リズムを維持できる
一日だけ調子がよいから復職するのではなく、ある程度安定した状態が続いているかを確認します。
復職への不安が完全になくなる必要はありません。
ただし、不安が強すぎて睡眠や生活が再び崩れている場合には、復職時期を慎重に検討する必要があります。
回復は、一直線には進みません
昨日は外出できたのに、今日は動けない。
よく眠れた翌日に、また眠れなくなる。
そのような波があると、「振り出しに戻った」と感じるかもしれません。
しかし、回復は毎日同じ速度で進むものではありません。
一日単位の調子だけで判断せず、睡眠、活動量、疲労から戻るまでの時間が、数週間の中でどう変化しているかを見ます。
回復の地図は、最短距離を示すものではありません。
迷ったときに、現在地へ戻るためのものです。
次回は、回復の地図の出発点となる「症状の棚卸し」について、具体的に扱います。
初診をご希望の方へ
休職したほうがよいのか迷っている方、休職中の過ごし方が分からない方、復職が近づくほど不安が強くなっている方は、まずWEB問診から現在の状態をお知らせください。
WEB問診には、現在の症状、睡眠や食事の状態、仕事への影響、休職を開始した時期、これまでの治療歴、復職予定の有無などをご記入ください。
保谷駅前こころのクリニックは、保谷駅北口の階段前、いなげや保谷駅前店2階にあります。平日夜間、日曜・祝日も診療しています。金曜・土曜は休診です。
当院は完全予約制です。ご記入いただいたWEB問診をもとに医師が内容を確認し、当院でお力になれると判断した場合に、WEB予約をご案内します。
WEB問診を書けば、必ず予約できるという仕組みではありません。
症状の重さ、身体疾患の可能性、これまでの治療歴、必要となる支援、受診目的などによっては、当院よりも他の医療機関のほうが適している場合があります。
当院は小規模なクリニックのため、すべての方、すべてのご相談をお引き受けできるわけではありません。
保谷・大泉学園周辺で、適応障害、休職中の治療、復職時期、診断書について相談したい方は、まずWEB問診から現在の状態をお知らせください。
保谷駅前こころのクリニック
