第222話 ペットを亡くして「自分が誰なのか分からない」と感じる方へ――飼い主という役割を失うペットロス【東京・保谷駅前こころのクリニック】|保谷駅前こころのクリニック|西東京市「保谷駅」北口すぐの心療内科

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第222話 ペットを亡くして「自分が誰なのか分からない」と感じる方へ――飼い主という役割を失うペットロス【東京・保谷駅前こころのクリニック】

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2026年3月07日

「悲しいのはもちろんなんです」

そこで言葉が止まります。

「でも、それだけじゃなくて。もう私が何をすればいいのか分からないんです」

毎日していたことを尋ねると、次々に言葉が出ます。

朝のごはん。
薬。
散歩。
通院。
夜中の見守り。

生活の中心には、いつも「あの子のためにすること」がありました。

亡くなったあとに失われるのは、相手だけではありません。

その子を守っていた自分の役割も失われます。

「飼い主」は、生活の中でつくられていく

最初から上手に世話ができたわけではない。

食事を調べた。
表情の違いを覚えた。
鳴き声の意味が分かるようになった。
具合が悪いときの顔を見分けるようになった。

何年もかけて、その子の飼い主になりました。

ほかの誰にも分からない小さな変化が分かる。
その子も、誰を頼ればよいか知っている。

それは単なる作業分担ではありません。

「この子には自分が必要だ」という関係です。

必要とされなくなったのではない

亡くなったあと、

「もう私には、することがない」

と感じることがあります。

世話をする手が止まり、声をかける相手もいない。

しかし、その子が亡くなったことで、あなたの役割が無意味になったわけではありません。

役割は、終わるまでの間、確かに果たされていました。

食べられる日を支えた。
怖い病院へ付き添った。
眠れない夜にそばにいた。

飼い主という役割は、亡くなった日に失敗したのではありません。その日まで、長い時間をかけて果たされたのです。

世話をしたい気持ちは、すぐには消えない

ペット用品売り場で足が止まる。
似た子を見ると、食事や病気が気になる。
水を替える時刻になると落ち着かない。

世話をする力の行き先だけが、なくなっています。

すぐに次の動物を迎える必要はありません。

写真を整える。
その子の記録を書く。
使わなかったフードを必要な場所へ渡す。

そうした行動が合う人もいます。

何もできず、ただ空いた手を見ている時期があっても構いません。

あなたが失ったのはペットだけではない。

その子に向けていた、毎日の自分でもあります。

だから、悲しみが大きいのです。

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