2026年6月08日
日曜日の夜。
明日は仕事だから、
「今日はちゃんと寝ないと」
と思う。
いつもより早めに布団に入る。
でも眠れない。
時計を見る。
22時48分。
「まだ大丈夫」
しばらくして、もう一度見る。
23時37分。
「まずい。早く寝ないと」
0時24分。
「あと6時間しか眠れない」
1時03分。
「明日は絶対につらい」
眠るために布団へ入ったはずなのに、
いつの間にか、
「あと何時間眠れるか」
を計算する場所になっている。
診察室で日曜日の不眠について聞いていると、
私は、
「その夜、いつから眠ることが仕事になりましたか」
と考えることがあります。
眠ることは本来、頑張って成功させる仕事ではありません。
ところが日曜日だけ、
睡眠に「明日の仕事に間に合わせる」という締切がついてしまうことがあります。
日曜日の夜だけ、睡眠に締切がつく
金曜日なら、
「少しくらい夜更かししてもいい」
と思える。
土曜日も、
「眠くなったら寝よう」
と思える。
ところが日曜日になると、
明日は6時半に起きなければならない。
電車に乗らなければならない。
会議がある。
仕事でミスをしたくない。
だから、
「23時までには眠らなければ」
という条件がつく。
すると23時を過ぎた瞬間から、
睡眠は休息ではなく、
達成しなければならない課題になっていきます。
私はこれを、
「睡眠に締切をつけすぎない」
という視点で考えることがあります。
睡眠には、「今すぐ眠れ」と命令しても従ってくれない性質があります。
だから、
眠ろうと頑張る。
眠れているか確認する。
時計を見る。
残り時間を計算する。
焦る。
さらに目が冴える。
という流れに入ってしまうことがあります。
「あと何時間眠れるか」という計算が、夜を長くする
日曜日の夜に眠れない方から、
「何度も時計を見ます」
と聞くことがあります。
23時。
0時。
1時。
2時。
時計を見るたびに、
「残り5時間」
「残り4時間」
と計算する。
しかし、この計算には少し困ったところがあります。
何時間眠れるかを確認して安心したいのに、
実際には確認するたびに焦りが増えていくことがあるからです。
「今何時だろう」
から、
「あと何時間しかない」
へ変わる。
さらに、
「これだけしか眠れなかったら、明日は仕事にならない」
まで考える。
眠れないことそのものに加えて、
「明日への予測」
まで布団の中へ持ち込むことになります。
睡眠時間を守ろうとして時計を見ているのに、
時計が眠るための緊張を増やしてしまう。
そんな逆転が起きることがあります。
「早く寝る」が必ずしも解決にならない理由
日曜日に眠れなかった。
すると次の日曜日は、
「先週眠れなかったから、今日は21時から布団に入ろう」
と考えることがあります。
でも、21時の時点で十分眠くなければ、
布団の中で起きている時間が長くなります。
そこでまた、
考える。
時計を見る。
寝返りを打つ。
「眠れない」
と確認する。
これを繰り返すと、
ベッドが、
「眠る場所」
ではなく、
「眠れるかどうかを確認する場所」
になってしまうことがあります。
睡眠では、
長く布団にいれば、それだけ眠れるとは限りません。
「眠らなければ」と布団にいる時間を増やすことが、かえって眠れない時間を増やしてしまう場合があります。
私は「眠れなかった時間」より「何をしていた時間か」を聞くことがあります
「昨日は2時間眠れませんでした」
と言われたとき、
私はその2時間に何が起きていたかも気にします。
会社のことを考えていたのか。
眠れるかどうかを確認していたのか。
時計を何度見たのか。
翌日の失敗を想像していたのか。
スマートフォンで睡眠について検索していたのか。
「もう眠れない」と焦っていたのか。
同じ「2時間眠れなかった」でも、中身は違います。
睡眠そのものより、
「眠れないことについて考える時間」
がどんどん増えている場合があります。
すると、
眠れない。
眠れないことが気になる。
さらに眠れない。
という二重構造になります。
一晩の睡眠を、翌日の合否判定にしない
日曜の夜になると、
「今日眠れなければ、明日は全部だめになる」
と考える方がいます。
もちろん、睡眠不足なら翌日つらくなることはあります。
しかし、
眠れないかもしれない。
明日は仕事にならない。
失敗する。
怒られる。
もっと不安になる。
というところまで一気に進むと、眠る前から翌日を失敗したことにしてしまいます。
私は、
「一晩の睡眠を、翌日の合否判定にしない」
という考え方も大切だと思っています。
昨日より少し眠れない日があっても、
その翌日をすべて失敗と決める必要はありません。
「明日のために完璧に眠る」
ではなく、
「今夜、眠る条件を邪魔しすぎない」
くらいに考える方がよい場合があります。
日曜だけ眠れないのか、睡眠そのものが崩れてきたのか
診察では、
「日曜日に眠れない」
だけで終わらせず、
月曜日はどうなのか。
火曜日以降は眠れるのか。
途中で目覚めるのか。
朝早く目覚めるのか。
休日に長く寝ているのか。
昼寝が増えていないか。
ベッドで過ごす時間が増えていないか。
睡眠への不安が平日にも広がっていないか。
ということも確認します。
日曜夜の一時的な不眠なのか。
仕事への不安と強く結びついているのか。
睡眠そのものへの不安が強くなっているのか。
ここを分けて考えることが大切です。
「眠れるように頑張る」から少し離れる
眠れない夜が続くと、
眠るために努力を増やしたくなります。
もっと早く布団に入る。
何時間眠ったか毎日細かく確認する。
眠れる方法を何度も検索する。
「今夜こそ」と力を入れる。
しかし、不眠の治療では、
こうした「睡眠への頑張り」そのものを見直すことがあります。
睡眠は、力を入れれば入れるほど上手になる作業とは少し違うからです。
私は、
「眠れない夜に必要なのは、睡眠を追いかけることではなく、睡眠が来られる余地を残すこと」
だと思っています。
WEB問診には「何時間眠れなかったか」だけでなく「眠ろうとして何をしているか」を書いてください
例えば、
「日曜日は眠れません」
だけでも構いません。
さらに、
「月曜日に備えて早めに布団へ入りますが、眠れずに何度も時計を見ます。『あと何時間しか眠れない』と考えると余計に焦ります。平日は日曜日ほどではありません」
と書いていただけると、睡眠の流れが分かりやすくなります。
当院は完全予約制です。
ご記入いただいたWEB問診をもとに、医師が内容を確認し、当院でお力になれると判断した場合に、WEB予約をご案内します。
予約枠が限られる小規模クリニックのため、すべてのご相談をお引き受けできるわけではありません。
「日曜日だけ、眠ることを頑張りすぎてしまう」
そんな夜が続いている方は、
眠れない時間に何をしているのか、そのままWEB問診に書いてみてください。
保谷駅前こころのクリニック
