2026年9月01日
朝、目は覚める。
着替えることもできる。
家を出ることもできる。
ところが、学校に近づくにつれて、だんだん身体がおかしくなる。
電車の中で胸が苦しくなる。
最寄り駅を降りると吐き気がする。
校門が見えてくるころには動悸がして、足が重くなる。
「ここまで来たのだから行かなければ」と思いながら、何とか職員室へ向かう。
そして子どもの前に立つと、意外なほど普通に授業ができることがあります。
だからこそ、
「本当に具合が悪いなら、授業なんてできないはずだ」
と、自分でも症状を軽く考えてしまう先生がいます。
しかし、学校へ近づいたときに繰り返し起こる吐き気や動悸は、心身の負担を考えるうえで見過ごさないほうがよい変化です。
朝起きられることと、余裕があることは同じではありません
仕事による負担が強くなっても、必ず「朝起きられない」という形で症状が現れるわけではありません。
目覚ましで起きる。
顔を洗う。
着替える。
電車に乗る。
そこまでは、これまでの習慣や責任感で動けることがあります。
しかし、学校に近づくにつれて、
「今日も一日が始まる」
「教室に行かなければならない」
「またあの対応をしなければならない」
という現実が迫ってきます。
そのときに、吐き気、動悸、腹痛、息苦しさ、めまい、発汗、身体の震えなどが強くなることがあります。
自分ではまだ「つらい」とはっきり認識していなくても、身体のほうが先に反応することがあります。
なぜ、校門の前になると急につらくなるのか
不安や緊張が強くなると、自律神経の働きによって心拍数が上がったり、胃腸の動きが変化したり、呼吸が浅くなったりすることがあります。
そのため、
「駅までは平気だったのに、学校が見えた途端に気持ち悪くなる」
「通勤途中は何ともなかったのに、校門の前で急に動悸がする」
ということは起こり得ます。
もちろん、校門そのものに原因があるわけではありません。
学校に近づくことによって、その日の授業、職員室での人間関係、保護者対応、会議、行事、仕事量などが現実味を帯び、身体が緊張状態に入っている可能性があります。
本人は、
「まだ何も起きていないのに」
と思うかもしれません。
けれども身体は、実際に何かが起きてからだけではなく、「これから起こること」を予測して反応することがあります。
教室に入ると、むしろ少し楽になることがあります
校門前では強かった症状が、授業が始まると一時的に軽くなる先生もいます。
子どもの前に立つ。
黒板を書く。
説明する。
質問に答える。
その時間は、「今やるべきこと」がはっきりしています。
目の前の仕事に集中することで、自分の吐き気や動悸を感じにくくなることがあります。
すると、
「授業ができたから、朝の吐き気は大したことではなかった」
と考えてしまいがちです。
しかし、授業ができたことは、朝の身体症状に問題がないことを意味しません。
大切なのは、
「できたか、できなかったか」
だけではなく、
「それをするために、どれだけ心身を使っているか」
を見ることです。
毎朝の吐き気や動悸が「いつものこと」になっていませんか
最初は週に1回だった。
月曜日だけだった。
大きな行事の前だけだった。
それが次第に、
毎朝気持ち悪い。
毎朝胸が苦しい。
毎朝「今日は休もうか」と考える。
という状態になることがあります。
それでも学校に着けば仕事が始まるため、そのまま何週間も続けてしまう先生がいます。
次のような変化が重なっている場合には、まだ出勤できていても、一度状態を整理してよい時期です。
最後の一つがあるために、
「私はまだ大丈夫」
と考えてしまうことがあります。
しかし、「仕事ができていること」と「負担が小さいこと」は同じではありません。
身体症状だからこそ、我慢を続けてしまうことがあります
吐き気がする。
胃が痛い。
胸が苦しい。
頭が痛い。
身体が重い。
このような症状があると、
「精神的な問題ではない」
と考えることがあります。
もちろん、身体疾患が隠れていないかを確認することは重要です。
一方で、検査では大きな異常がなく、休日には少し軽くなり、学校へ行く朝に繰り返し強くなる場合には、仕事に伴うストレスや不安が関係していることもあります。
身体症状だからといって、心の負担と無関係とは限りません。
言葉で「もう無理だ」と考えるより先に、身体が負担の大きさを知らせていることがあります。
「休むほどではない」と思っている段階で相談して構いません
先生から、
「まだ毎日学校には行けています」
「授業もできています」
「休職するほどではないと思います」
と話されることがあります。
受診するために、完全に働けなくなる必要はありません。
また、受診したからといって、必ず休職になるわけでもありません。
睡眠、食欲、朝の身体症状、勤務中の状態、帰宅後の回復、休日の過ごし方などを確認しながら、治療を受けつつ勤務を続けられる状態なのか、いったん負担を減らしたほうがよい状態なのかを考えていきます。
不安、不眠、動悸、抑うつ症状などに対する治療を行い、医学的に休養が必要と判断される場合には、診断書について相談することもできます。
「もう学校へ行けない」となるまで待つ必要はありません。
校門の前で、毎朝自分を説得している先生へ
「今日だけ頑張ろう」
「教室に入れば何とかなる」
「休んだら迷惑がかかる」
そう考えて、毎朝自分を学校へ向かわせているかもしれません。
そして実際に授業ができると、
「やっぱり大丈夫だった」
と思う。
翌朝になると、また吐き気や動悸がする。
その繰り返しになっていないでしょうか。
学校に行けているかどうかだけで、今の状態を判断する必要はありません。
WEB問診には、授業ができていることだけではなく、
学校へ向かう途中で何が起きているのか。
校門の前でどのような身体症状が出ているのか。
帰宅後にどの程度回復できているのか。
そこまで、そのままご記入ください。
当院は完全予約制です。
ご記入いただいたWEB問診をもとに、医師が内容を確認し、当院でお力になれると判断した場合に、WEB予約をご案内します。
すべての方に予約をご案内できるわけではありませんが、
「授業ができているから、まだ受診するほどではない」
と考えて、毎朝の身体症状を小さく扱う必要はありません。
学校に着けているかどうかだけではなく、
学校へ着くまでに、どれだけ自分を追い込んでいるか。
そこにも、今の心身の状態を知るための大切な手がかりがあります。
保谷駅前こころのクリニック
