2026年8月25日
新学期が始まった。
朝は何とか起きて学校へ行き、子どもの前ではいつもどおりに話している。授業を進め、職員室では必要な連絡を返し、保護者からの電話にも対応している。
ところが、学校を出た途端に急に力が抜ける。
帰宅すると、着替えることもできない。鞄を置いたまま横になり、夕食や入浴を後回しにして、「明日の準備をしなければ」と思いながら眠ってしまう。
翌朝は、回復しないまま再び学校へ向かう。
授業ができているため、自分では「まだ大丈夫」と思っているかもしれません。しかし、学校で動けていることと、心身に余力が残っていることは同じではありません。
チャイムは、先生にとって休憩の合図ではありません
子どもにとって授業の終わりを知らせるチャイムも、先生にとっては、次の仕事へ移る合図になりがちです。
休み時間には、次の授業の準備、欠席した子どもの確認、連絡帳、提出物、子ども同士のトラブルへの対応があります。放課後も、採点、会議、行事の準備、保護者への連絡が続きます。予定外の出来事が起きても、次の授業の時間は待ってくれません。
つらくても、子どもの前に立てば声を出し、周囲に気を配り、その場を進める必要があります。責任感と緊張で勤務時間を乗り切れるため、疲労の深さが自分にも周囲にも見えにくくなります。
学校で動くために、帰宅後の生活まで使い切っていることがあります。
なぜ、学校では動けるのに、家では動けなくなるのか
勤務中は、次にするべきことが次々と現れます。緊張している間は疲労や不調を感じるより先に身体が動き、学校を離れて緊張が緩んだところで、感じきれなかった疲れが一気に表に出ることがあります。
そのため、診察室でも「学校にいる間は何とかなるのですが、家に帰ると何もできません」と話される先生がいます。
これは、家に帰ると怠けてしまうという話ではありません。仕事を終えたあとに回復する力が残っていないのです。
不眠、食欲低下、動悸、朝の吐き気、涙が出る、頭が働かない、仕事のことが頭から離れないといった症状を伴う場合には、心身の負担が回復力を上回り始めている可能性があります。
限界は、出勤できなくなった日に始まるわけではありません
次のような変化が続いているときは、まだ出勤できていても、一度状態を整理してよい時期です。
限界は、ある朝突然訪れたように見えても、その前から生活の小さな部分が少しずつ失われています。食事を作らなくなった。お風呂に入れなくなった。家族と話さなくなった。好きだったことに手が伸びなくなった。
「今日も授業ができたから大丈夫」ではなく、「授業を終えたあとに、自分の生活が残っているか」を見てください。
「もう少し頑張ってから」では、判断が難しくなることがあります
新学期は、学級の雰囲気が落ち着くまで、休みにくいと感じやすい時期です。
自分が休めば周囲に迷惑がかかる。担任を途中で離れるわけにはいかない。行事が終わるまでは何とかしたい。そのように考えて、受診を先送りする先生もいます。
けれども、次の区切りを待つ間に、睡眠や食事が崩れ、判断力が落ちることがあります。「休むか、続けるか」を一人で決めてから受診する必要はありません。受診したからといって、必ず休職になるわけでもありません。
症状、睡眠や食事、勤務後の回復などを確認し、治療を受けながら勤務を続けられる状態か、いったん休養する必要があるかを検討します。
不眠や不安、動悸、抑うつ症状などへの治療を行い、医学的に休養が必要と判断される場合には、診断書について相談することもできます。
倒れるまで働き続けることだけが、責任の果たし方ではありません。
帰宅後の生活がなくなりかけている先生へ
学校では何とか振る舞えているのに、帰宅すると動けない。眠れない。朝になると吐き気や動悸がする。明日のことを考えるだけで涙が出る。
その状態を、きれいに説明できなくても構いません。
当院は完全予約制です。
ご記入いただいたWEB問診をもとに、医師が内容を確認し、当院でお力になれると判断した場合に、WEB予約をご案内します。
すべての方に予約をご案内できるわけではありませんが、「まだ学校には行けているから」とつらさを小さく書かず、勤務後の生活で起きていることまで、そのままWEB問診にご記入ください。
授業を終えたあとに、自分の生活が残っているか。
それが、今の状態を確かめるための大切な手がかりになります。
保谷駅前こころのクリニック
