第108話 言葉を交わせなかったのに、なぜこんなに分かり合えたのか――人と動物のあいだにあったこころ【東京・保谷駅前こころのクリニック】|保谷駅前こころのクリニック|西東京市「保谷駅」北口すぐの心療内科

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第108話 言葉を交わせなかったのに、なぜこんなに分かり合えたのか――人と動物のあいだにあったこころ【東京・保谷駅前こころのクリニック】

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2026年1月07日

「言葉も話さないのに、不思議ですよね」

写真を見ながら、そう話す方がいます。

「家族には言えないことも、この子には分かってもらえている気がしたんです」

人と動物は、同じ言葉を使いません。

それでも長く暮らすと、分かることが増えていきます。

足音だけで機嫌が分かる。
目の動きで、何を求めているか分かる。
近くへ来た理由が、食事なのか不安なのか分かる。

動物の側も、飼い主の生活を覚えます。

帰宅する時刻。
ごはんを出す音。
落ち込んでいる日の声。

関係は、会話だけで作られるのではない

同じ部屋にいる。
触れる。
目が合う。
互いの生活音を聞く。

何年も繰り返された、小さなやり取り。

人は会話だけで心を通わせているわけではありません。

安心できる匂い、声、距離、触れ方。

動物との関係では、それがよりはっきり見えます。

言葉がなかったから、関係が浅かったのではありません。言葉にしなくても通じるところまで、毎日を重ねていたのです。

亡くなったあとも、体が相手を探す

玄関で足音を待つ。
寝返りを小さくする。
食べ物を落としたとき、床を見る。

頭ではもういないと知っている。

それでも体は、以前の関係の続きをします。

人と動物のあいだにあったこころは、抽象的なものだけではありません。

生活の動きとして、体にも刻まれていました。

だから喪失は、考え方を変えるだけでは終わりません。

新しい生活を体が覚えるまで、時間がかかるのです。

その時間は、執着ではありません。

言葉のない相手と、確かに分かり合っていた痕跡です。

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