2026年1月24日
朝、目を覚ます。
まだ何も起きていません。
仕事で失敗したわけでもない。誰かから嫌な連絡が来たわけでもない。今日、特別に難しい予定があるわけでもない。
それなのに、胸の奥が落ち着かない。
起き上がって支度をする。朝食を取る。電車に乗る。
仕事が始まれば、いつもどおりに動けます。メールを返し、人と話し、頼まれたことを終わらせる。
周囲からは、普段と変わらないように見えています。
ただ、自分の中では、何かがずっと引っかかっている。
「このままで大丈夫だろうか」
何が大丈夫ではないのかは、自分でもわかりません。
昼休みになっても気持ちは休まらない。帰宅しても、胸のざわつきが残っている。
布団に入ると、その日には起きなかった悪いことを考え始めます。
明日、仕事で失敗するかもしれない。急に体調が悪くなるかもしれない。家族に何か起きるかもしれない。
答えのないことを考えているうちに、時計は午前1時を過ぎています。
大きな発作はない。
倒れたこともない。
それでも、何も起きていない時間を、安心して過ごせなくなっています。
「何が不安なのですか」と聞かれて困る
診察室で、こう話される方がいます。
「理由はわからないんです。でも、ずっと不安です」
「仕事で何かありましたか」
「特にありません。仕事も普通に行けています」
「一番つらくなるのは、どの時間ですか」
少し考えてから、
「朝起きたときと、夜です。昼間は仕事をしているので、まだ大丈夫です」
と答えます。
不安には、はっきりした対象があるものもあります。
人間関係が不安。仕事の結果が不安。試験が不安。
一方で、「これが原因です」と一つに決められない不安もあります。
その場合、本人は説明に困ります。
理由を説明できないため、「考えすぎなのだろう」「自分の性格の問題だろう」と片づけようとします。
けれど、原因を一言で言えないことと、不調がないことは同じではありません。
職場、家庭、睡眠、将来への漠然とした心配。小さな負担が積み重なり、どれが原因なのか明確に切り分けられなくなっている場合もあります。
普通に生活できるため、自分でも気づきにくい
仕事には行ける。家事もしている。人と会えば笑うこともできる。
そのため、「心療内科へ行くほどではない」と考える方がいます。
周囲からも、
「普通に働けているから大丈夫でしょう」
「何をそんなに心配しているの」
と言われることがあります。
本人も、そうかもしれないと思います。
ただ、普通に見える一日を終えるために、以前より多くの力を使っていることがあります。
人との会話を何度も振り返る。メールを送る前に繰り返し確認する。予定よりかなり早く家を出る。何も問題がないか、頭の中で一日中確認を続ける。
帰宅するころには、もう何もする力が残っていません。
食事や入浴を後回しにし、横になる。それでも頭は止まらず、眠れない。
外から見える生活は保たれていても、その生活を支えるための余力がなくなり始めています。
不安をなくそうとするほど、不安の確認が増えていく
胸がざわつく。
そこで、「なぜ不安なのだろう」と考え始めます。
仕事に問題はないか。体調は大丈夫か。家族に何か起きないか。将来の準備は足りているか。
一つずつ確認する。
その瞬間は少し安心します。
しかし、また不安になると、同じ確認を繰り返します。検索をする。家族へ連絡する。身体の変化を調べる。明日の予定を何度も見直す。
不安を小さくするために始めた確認が、いつの間にか不安を忘れられない時間を増やしています。
安心を確かめ続けると、安心できない自分を毎回確認することがあります。
不安を持たないように努力することが、かえって不安を一日の中心に置いてしまうのです。
「もっと大変な人がいる」と考えてしまう
「自分より大変な人はいくらでもいます」
診察で、この言葉を聞くことがあります。
仕事は失っていない。家族もいる。生活にも大きな問題はない。
それなのに不安になる自分は、弱いのではないか。
そう考え、症状を説明した直後に、自分で打ち消してしまいます。
「でも、眠れている日もあります」
「会社は休んでいません」
「もっとひどい人に比べれば、大したことはありません」
医療では、ほかの人との比較で治療の必要性を決めません。
以前の自分と比べて、何が変わったのかを見ます。
前より眠りにくくなった。何度も確認しなければ外出できない。理由のわからない不安で集中できない。休日も休んだ感じがしない。
その変化が続いているなら、状態を確認する理由になります。
身体にも小さな変化が出てくる
不安が長く続くと、気持ちだけでなく身体にも変化が出る場合があります。
胸が速く打つ。呼吸が浅く感じる。肩や顎に力が入る。胃が重い。寝つきが悪くなる。夜中に何度も目を覚ます。
明確な発作ではなくても、一日中、身体が休みに入れない感じが続きます。
ただし、動悸や息苦しさがあるからといって、最初から不安によるものと決めることはできません。
不整脈、甲状腺機能の異常、貧血、喘息などでも似た症状が出ます。カフェイン、飲酒、脱水、服用中の薬が関係している場合もあります。
強い胸痛、失神、冷汗、運動時にも出る症状などがある場合は、まず内科や救急医療機関で確認してください。
必要な検査で大きな異常が見つからず、それでも不安や身体の緊張が続く場合には、心療内科・精神科で状態を確認することがあります。
診察では「不安の理由当て」をするわけではありません
不安が発生する構造ををうまく言葉で説明できないまま受診しても構いません。
もちろん診察で、本人も知らなかった原因を医師が一度で言い当てるわけではありません。
いつから不安が始まったのか。朝と夜のどちらがつらいのか。(時間)眠れているか。仕事や家庭で何が変わったか(経過・変化)。確認や検索にどれくらい時間を使っているか(習慣・行動)。
そうした具体的な生活を整理ながら、現在の状態を分析します。
治療は、すべての不安を消し、何も心配しない人になることではありません。
必要な心配と、生活を削るだけの心配を少しずつ切り分ける。
家に帰ってから自分のために使うエネルギーも残しておく。
夜は考える作業を終え、眠れる状態へ戻す。
睡眠の質を上げることを決めるその他、自分自身の意識改革をする。
そして、仕事や家事を続けるための余力を取り戻す。
症状や生活への影響に応じて、薬物療法を含めた治療法を検討する場合もあります。
「薬を飲むほど重いのか」と、自分で結論を出してから受診する必要はありません。薬が必要かどうかも含めて診察で考えます。
治療方法を決める前に、自分で独自の縛りを設定してしまわない方は、楽になっていく可能性が高いです。
発作がなくても相談してよい
受診の目安は、倒れたことがあるか、仕事を休んだかだけではありません。
理由のわからない不安がほぼ毎日続く。安心するための確認が増えた。夜になると考えが止まらない。眠りが浅くなった。仕事中も集中できない。
このような変化が続いている場合には、発作がなくても相談してよいと思います。
「まだ動けているから大丈夫」ではなく、ここまで動き続けた結果、どのくらい余力が残っているのかを見る。
何もできなくなってからでなければ、医療を利用できないわけではありません。
不安の理由が見つからないときほど、症状ではなく一日の使い方を見る。
そこに、現在の負担が現れていることがあります。
理由のわからない不安が続いている方へ
当院は完全予約制です。
ご記入いただいたWEB問診を医師が確認し、当院で対応可能と判断した場合にWEB予約をご案内します。WEB問診への記入だけで予約が確定するわけではありません。
WEB問診では、不安の理由をきれいに説明する必要はありません。
いつごろから胸のざわつきが始まったのか。朝と夜のどちらがつらいのか。眠れているか。確認や検索が増えていないか。仕事や帰宅後の生活にどのような変化が出ているか。
現在わかる範囲で、できるだけ具体的にご記入ください。
小規模クリニックで診療枠が限られているため、症状の重さ、安全性、診療体制などにより、すべてのご相談をお引き受けできるわけではありません。
保谷駅前こころのクリニックは、保谷駅北口の階段を降りた目の前、いなげや保谷駅前店2階にあります。平日は夜まで、日曜・祝日も診療しています。
大きな発作はない。それでも、理由のわからない不安のために、何も起きていない時間まで落ち着かなくなっている。
そのような方は、現在の生活と睡眠の状態をWEB問診からお知らせください。
保谷駅前こころのクリニック
