第399話 会社で言われた嫌な言葉が頭から離れない方へ|退勤したのに、頭の中では勤務が続いている|保谷駅前こころのクリニック|西東京市「保谷駅」北口すぐの心療内科

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第399話 会社で言われた嫌な言葉が頭から離れない方へ|退勤したのに、頭の中では勤務が続いている

第399話 会社で言われた嫌な言葉が頭から離れない方へ|退勤したのに、頭の中では勤務が続いている|保谷駅前こころのクリニック|西東京市「保谷駅」北口すぐの心療内科

2026年6月02日

「今日は、何時に会社を出ましたか」

診察室でそう尋ねると、

「6時半くらいです」

と答えられる。

そこで、もう一つ聞きます。

「では、仕事のことを考えなくなったのは何時ですか」

少し間があって、

「……寝るまで、ずっと考えていました」

と返ってくることがあります。

私は、この二つの時刻を分けて考えています。

会社を出た時刻。

仕事が頭の中から出ていった時刻。

この二つが、同じとは限らないからです。

タイムカードは退勤している。

パソコンも閉じている。

電車にも乗った。

保谷駅で降りた。

買い物をして家にも帰った。

それなのに、頭の中ではまだ仕事をしている。

そんな夜があります。

身体は帰宅しているのに、頭の中では会議が続いている

上司から言われた一言。

会議で指摘されたこと。

同僚のため息。

皆の前で注意されたときの空気。

その場で言い返せなかったこと。

帰宅してから、突然それらが戻ってきます。

冷蔵庫を開けながら、

「あのとき、こう言えばよかった」

と考える。

シャワーを浴びながら、

「あれはどういう意味だったんだろう」

と考える。

布団に入ってから、

「明日は何と言えばいいだろう」

と考える。

勤務は終わっています。

でも、自分の夜だけが会社に残業しています。

私はこれを診察室で、

「頭の中の残業」

として捉えることがあります。

なぜ、会社にいるときより、家に帰ってから考えてしまうのか

嫌なことを言われた瞬間に、十分考えられるとは限りません。

仕事中だからです。

言い返したら面倒になる。

その場で泣くわけにはいかない。

次の仕事がある。

電話が鳴る。

会議も続く。

周りには普通に見せておきたい。

だから、その場では、

「分かりました」

と答えて仕事を続ける。

感情を処理するより先に、業務を処理します。

そして家に帰る。

緊張が少し解ける。

そこで初めて、

悔しかった。

腹が立った。

怖かった。

恥ずかしかった。

納得できなかった。

という感情が戻ってくる。

職場で平静に見えたからといって、何も感じていなかったわけではありません。

むしろ、仕事中に後回しにしたものが、帰宅後にまとめて届くことがあります。

「考えている」と「解決している」は、同じではありません

ここが、診察室で一緒に整理したいところです。

「あの言葉はどういう意味だったんだろう」

「あの人は私を嫌っているのだろうか」

「別の言い方をすればよかった」

「次に同じことを言われたらどうしよう」

こうして何十分、何時間も考えていると、

自分では「問題について考えている」つもりになります。

しかし、同じ場面を繰り返しているだけになっていることがあります。

問題解決には、終了条件があります。

明日、資料を直す。

上司に一つ確認する。

メールを一本送る。

ここまで決まれば、今日考える作業は終わります。

一方、反芻には終了条件がありません。

相手の本当の気持ちは分からない。

過去の会話も変えられない。

「もっと正しい答え」が見つかるまで考えようとすると、会議がいつまでも終わりません。

私は、

「長く考えたこと」と「深く考えたこと」を、同じにしない方がよいと思っています。

考える時間が長いほど、答えに近づいているとは限りません。

頭の中の会議には、閉会時刻がありません

実際の会議なら、終わる時間があります。

仕事にも退勤時刻があります。

ところが頭の中の会議には、誰も終了時刻を設定してくれません。

だから自分で、

「これは今夜考える仕事なのか」

を分ける必要があります。

ここで一度、

「事実」

「自分の解釈」

「明日やること」

の三つに分けてみます。

例えば、

事実:
「資料の確認が甘い」と言われた。

自分の解釈:
「能力がないと思われたのではないか」

明日やること:
指摘された3か所を確認して提出する。

こうして並べると、

「能力がないと思われた」

は、実際に言われた言葉ではないことに気づきます。

もちろん、だから傷つく必要がないという話ではありません。

嫌だったものは嫌だった。

悔しかったものは悔しかった。

そこを無理に前向きに変える必要もありません。

ただ、

事実と、自分の頭の中で追加された意味を、一度分ける。

そして、明日やることが決まったら、

今日の仕事はそこまでです。

明日の仕事は、明日の自分に返す

「考えないようにしてください」

と言われても、なかなかできません。

考えないようにすると、逆に気になることもあります。

ですから私は、

「忘れる」

より、

「明日に返す」

という考え方の方が使いやすいと思っています。

明日確認することは、明日の自分に返す。

明日話すことは、明日の自分に返す。

今夜答えの出ない相手の気持ちも、今夜は保留にする。

明日の仕事まで、今日の自分が前倒しで勤務する必要はありません。

「明日の仕事は、明日の自分に返す。今夜の自分まで出勤させない」

これが、頭の中の退勤処理です。

夜は「仕事を考えない時間」ではなく、「仕事を終えた時間」にする

帰宅しても、

「仕事のことを考えてはいけない」

と自分に命令する必要はありません。

大切なのは、

思い出したかどうかより、

そこから何時間勤務を延長したかです。

一度思い出した。

少し腹が立った。

でも、

「明日確認することは決めた」

「今日はここまで」

と区切る。

すると、仕事を思い出したこと自体を失敗にしなくて済みます。

仕事を完全に忘れることを目標にするのではなく、

仕事を終わらせる。

この違いは意外に大きいと思っています。

診察室では「何を言われたか」だけを見ているわけではありません

職場の人間関係について相談されると、

「上司からこんなことを言われました」

「このメッセージを見てください」

と説明されることがあります。

もちろん、その出来事を確認することは必要です。

しかし精神科・心療内科で私が知りたいのは、

相手の言葉だけではありません。

その言葉が、会社を出たあと何時間残っているのか。

帰宅後も会話を何度も再生しているのか。

食事中も考えているのか。

入浴中も考えているのか。

布団に入ってからも考えているのか。

そして、眠りにまで入り込んでいるのか。

私は、

「その一言が、あなたの一日の何時間を使っているのか」

を見るようにしています。

嫌な言葉そのものは数秒です。

しかし、その数秒の出来事に毎晩何時間も使うようになると、生活への影響は大きくなります。

仕事関連の反芻と睡眠や疲労との関連は、研究でも指摘されています。

職場を離れたあとも仕事から心理的に離れにくい状態が続くと、休む時間まで仕事に持っていかれてしまいます。

会社の一言に、自分の夜まで勤務させない

嫌なことを言われれば、考えるのは自然です。

一度も思い出してはいけない、という話ではありません。

問題になるのは、

会社を出ても、

夕食を食べても、

風呂に入っても、

布団に入っても、

同じ会話が続いていることです。

夜は、本来なら次の日のために回復する時間です。

そこまで会社に渡してしまうと、

一日の中に「仕事ではない時間」がなくなっていきます。

私は、

「退勤とは、会社を出ることだけではない」

と思っています。

頭の中から仕事が出ていくところまで含めて、ようやく一日の仕事が終わる。

タイムカードには残らない、もう一つの退勤時刻があります。

WEB問診には「その後」を書いてください

会社で嫌なことを言われた場合、その会話を最初から最後までWEB問診に再現する必要はありません。

むしろ、診療で知りたいのは「その後」です。

例えば、

「上司から強く注意されて以降、帰宅してからも毎晩その場面を考えています。夕食中や入浴中にも思い出し、布団に入ってから1時間以上考えることがあります。最近は寝つきも悪くなりました」

このように書いていただければ、現在の状態が分かりやすくなります。

何を言われたか。

それから何時間考えているか。

睡眠がどう変わったか。

帰宅後の生活にどのような影響が出ているか。

そこを、そのまま書いてください。

当院は完全予約制です。

ご記入いただいたWEB問診をもとに、医師が内容を確認し、当院でお力になれると判断した場合に、WEB予約をご案内します。

予約枠が限られる小規模クリニックのため、すべてのご相談をお引き受けできるわけではありません。

会社を出たのに、今日の仕事がまだ終わっていない。

そんな夜が続いている方は、

「仕事が頭から離れなくなった時間」から、そのままWEB問診に書いてみてください。

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