第420話 なぜ老犬は夜鳴きするのか?|認知機能の変化と飼い主のこころの疲れ【獣医師が解説】|保谷駅前こころのクリニック|西東京市「保谷駅」北口すぐの心療内科

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第420話 なぜ老犬は夜鳴きするのか?|認知機能の変化と飼い主のこころの疲れ【獣医師が解説】

第420話 なぜ老犬は夜鳴きするのか?|認知機能の変化と飼い主のこころの疲れ【獣医師が解説】|保谷駅前こころのクリニック|西東京市「保谷駅」北口すぐの心療内科

2026年6月05日

老犬の夜鳴きは、年齢とともに増えることがあります

老犬になってから、夜中に鳴くようになった。
夜中に吠えるようになった。
夜になると落ち着かず、家の中を歩き回る。
昼間はよく寝ているのに、夜になると起きてしまう。
飼い主が眠ろうとすると、鳴いたり、吠えたり、そばに来たりする。

このような「老犬の夜鳴き」に悩む飼い主の方は少なくありません。

若いころは朝までよく眠っていた犬でも、高齢になると睡眠のリズムが変わることがあります。
また、体の痛み、不安、見えにくさ、聞こえにくさ、内臓の病気、認知機能の変化など、いくつかの要因が重なって夜鳴きにつながることもあります。

老犬の夜鳴きは、単なる「わがまま」や「困った行動」と決めつけられるものではありません。
その子の体や脳、生活リズムに変化が起きているサインとして考えることが大切です。

認知機能の変化で、夜に落ち着かなくなることがあります

老犬の夜鳴きの背景として、認知機能の変化が関係することがあります。

犬も年齢を重ねると、周囲の状況を把握する力、生活リズム、睡眠と覚醒の切り替え、家族への反応などが変化することがあります。

たとえば、

夜中に起きて歩き回る。
部屋の隅で立ち止まる。
同じ場所をぐるぐる歩く。
昼夜が逆転したように見える。
以前より不安そうに鳴く。
トイレの失敗が増える。
家族への反応が変わる。

このような変化が見られることがあります。

一般には「犬の認知症」と表現されることもありますが、実際には痛みや内科疾患、不安なども含めて総合的に見る必要があります。

もちろん、これらがすべて認知機能の変化によるものとは限りません。
痛み、視力や聴力の低下、心臓や呼吸器の病気、泌尿器の問題、消化器の不調などでも、夜間に落ち着かなくなることがあります。

そのため、老犬が夜鳴きするようになった場合には、「年だから仕方ない」と片づけず、まずは動物病院で体の状態を確認することが大切です。

痛みや不安が、夜鳴きの原因になることもあります

老犬の夜鳴きは、認知機能だけでなく、体のつらさから起こることもあります。

関節の痛み。
腰や首の痛み。
寝返りのしにくさ。
呼吸の苦しさ。
お腹の不快感。
トイレに行きたい感覚。
視力や聴力の低下による不安。

こうした変化があると、夜に眠りが浅くなり、鳴いたり、歩き回ったりすることがあります。

高齢犬は、自分の不調を言葉で伝えることができません。
そのため、夜鳴きという形で「眠れない」「不安」「落ち着かない」「体がつらい」という状態が表に出ていることがあります。

夜鳴きだけを見るのではなく、日中の歩き方、食欲、水を飲む量、排尿や排便、呼吸、表情、寝る姿勢なども一緒に観察しておくと、原因を考える手がかりになります。

昼夜逆転のように見えることもあります

老犬では、昼間によく眠り、夜になると起きてしまうことがあります。

日中の活動量が減る。
散歩の時間が短くなる。
刺激が少なくなる。
昼間に長く眠る。
夜に目が覚める。
暗くなると不安が強くなる。

このような流れで、夜間に落ち着かなくなることがあります。

特に、認知機能の変化がある場合には、睡眠と覚醒のリズムが乱れ、夜中に起きて歩き回ったり、鳴いたりすることがあります。

飼い主としては、「なぜ夜だけこんなに鳴くのか」と感じるかもしれません。
しかし、犬にとっても、夜の暗さ、静けさ、体の違和感、不安が重なり、落ち着きにくくなっている場合があります。

老犬の夜鳴きは、飼い主の睡眠にも大きく影響します

老犬の夜鳴きでつらいのは、犬だけではありません。

飼い主も眠れなくなります。

夜中に何度も起きる。
鳴き声が気になって眠れない。
近所への迷惑が心配になる。
明日の仕事に支障が出る。
家族の中で対応する人が偏る。
寝不足が続き、気持ちに余裕がなくなる。

老犬介護では、飼い主の睡眠不足が大きな負担になります。

大切な犬だからこそ、できるだけ対応したい。
でも、毎晩続くと体も心も疲れてくる。
疲れてしまった自分に対して、「こんなふうに思ってはいけない」と責めてしまう。

そのような方もいます。

しかし、老犬の夜鳴きに疲れることは、愛情がないという意味ではありません。
眠れない日が続けば、人の心身にも当然負担がかかります。

「老犬介護に疲れた」と感じる自分を責めすぎないでください

老犬の介護では、飼い主が自分を責めてしまうことがあります。

夜鳴きにイライラしてしまった。
つい強い口調になってしまった。
また夜が来ると思うと怖くなる。
寝不足で仕事に集中できない。
家族に相談しても、温度差がある。
「最後までちゃんと見なければ」と思うほど苦しくなる。

老犬介護に疲れたと感じることは、決して珍しいことではありません。

犬を大切に思っているからこそ、対応し続けようとします。
けれど、人間の体にも限界があります。

夜鳴きが続くと、睡眠不足、不安、焦り、怒り、罪悪感が重なっていきます。
その状態で介護を続けることは、飼い主にとっても大きな負担です。

「疲れた」と感じること自体を、悪いことだと決めつける必要はありません。

まずは動物病院で、体の原因を確認することが大切です

老犬の夜鳴きが続く場合、まず確認したいのは体の状態です。

痛みはないか。
呼吸は苦しくないか。
心臓や肺に問題はないか。
泌尿器の問題はないか。
お腹の不快感はないか。
視力や聴力の低下が不安につながっていないか。
認知機能の変化が関係していないか。

こうした点を、かかりつけの動物病院で相談することが大切です。

夜鳴きの原因が一つとは限りません。
痛み、不安、認知機能の変化、生活リズム、環境の変化が重なっていることもあります。

「老犬だから仕方ない」と我慢し続ける前に、まずは獣医師に相談し、その子に合った対応を考えていくことが大切です。

家で記録しておくと、相談しやすくなります

動物病院で相談するときには、夜鳴きの様子を記録しておくと役立つことがあります。

何時ごろに鳴くのか。
どのくらい続くのか。
歩き回るのか、同じ場所にいるのか。
水を飲む量は増えていないか。
トイレの回数は変わっていないか。
食欲はあるか。
日中はどれくらい眠っているか。
散歩や活動量は変わったか。
抱っこや声かけで落ち着くのか。

こうした情報は、体の病気、痛み、不安、認知機能の変化を考えるうえで手がかりになります。

スマートフォンのメモでも構いません。
数日分だけでも、夜鳴きのパターンが見えてくることがあります。

記録をしても飼い主自身の不眠や疲れが続く場合には、自分の状態もあわせて見ていくことが大切です。

飼い主の不眠や疲れも、見過ごさないでよいものです

老犬の夜鳴きが続くと、飼い主自身の睡眠も乱れます。

眠れない。
夜になると緊張する。
また鳴くのではないかと不安になる。
日中にぼーっとする。
仕事や家事に集中できない。
気分が落ち込む。
自分を責める気持ちが強くなる。

このような状態が続いている場合、犬の問題だけでなく、飼い主自身の心身にも負担がかかっている可能性があります。

老犬の介護は、体力だけでなく、気持ちの面でも大きな負担になります。
それでも、「飼い主だから頑張らなければ」と一人で抱え込んでしまう方は少なくありません。

ペットのことを大切に思う気持ちと、飼い主自身の疲れは、同時に存在します。
疲れているから愛情がない、ということではありません。

獣医療と精神医療の両方から、飼い主の負担を考える視点

保谷駅前こころのクリニックの院長は、医師・精神保健指定医であると同時に、獣医師としての臨床経験も有しています。

老犬の夜鳴き、認知機能の変化、介護の負担、看取りの不安。
そして、それに伴う飼い主の不眠、不安、気分の落ち込み、仕事や生活への影響。

これらは、別々のもののようでいて、実際にはつながっていることがあります。

老犬の夜鳴きは、犬だけの問題として語られがちですが、実際には飼い主の睡眠や生活にも大きく影響します。

動物医療の視点から、老犬に何が起きているのかを理解する。
精神医療の視点から、飼い主自身の睡眠や不安、疲労を確認する。

その両方の視点があることで、ペットと暮らす方の負担をより具体的に整理しやすくなることがあります。

ペットの変化を理解している相手だからこそ、飼い主側に起きている眠れなさや不安も話しやすいことがあります。

老犬の夜鳴きが続き、飼い主自身も眠れない、不安が強い、生活に影響している場合には、ペットの状態だけでなく、ご自身の心身の状態もあわせて整理してみることが大切です。必要に応じて、WEB問診から現在の状態をお知らせください。

保谷駅前こころのクリニックは、西武池袋線・保谷駅北口すぐ、いなげや保谷駅前店2階にあります。
雑居ビルではなく、駅前の清潔なスーパーの2階にあるため、初めての方にも来院しやすい環境で日曜日も診療しています。

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