第421話 柴犬は賢い犬なのか?|自立心が強い犬との付き合い方【獣医師が解説】|保谷駅前こころのクリニック|西東京市「保谷駅」北口すぐの心療内科

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第421話 柴犬は賢い犬なのか?|自立心が強い犬との付き合い方【獣医師が解説】

第421話 柴犬は賢い犬なのか?|自立心が強い犬との付き合い方【獣医師が解説】|保谷駅前こころのクリニック|西東京市「保谷駅」北口すぐの心療内科

2026年6月06日

柴犬は賢い犬なのか

「柴犬は賢いのか」と気になって検索する方は少なくありません。

結論からいえば、柴犬は賢い犬です。
ただし、その賢さは「すぐに指示に従う」という形ではなく、自分で状況を見て判断する、嫌だった経験を覚えている、家族の空気を読むといった形で見えることがあります。

柴犬は、日本犬らしい凛とした雰囲気、自立心の強さ、警戒心、家族への深い結びつきが特徴として語られることが多い犬種です。

一方で、

「柴犬は頑固」
「柴犬はしつけが難しい」
「柴犬は飼いにくいのではないか」
「柴犬は言うことを聞かない」

といった言葉を目にすることもあります。

しかし、柴犬が「賢くない」から言うことを聞かない、というわけではありません。
むしろ、柴犬には柴犬らしい賢さがあります。

人の指示にすぐ従うタイプの賢さもあれば、自分で状況を見て判断する賢さもあります。
柴犬の場合、後者のような賢さが目立つことがあります。

柴犬の賢さは「従順さ」だけでは測れません

犬の賢さランキングでは、ボーダー・コリー、プードル、ジャーマン・シェパード、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバーなどが上位に挙げられることがあります。

こうしたランキングでは、主に「人の指示を覚える力」「作業への集中力」「訓練への反応」などが評価されることがあります。

しかし、柴犬の賢さは、それだけでは測れません。

柴犬は、人の指示をすぐに実行するよりも、周囲の状況や相手との関係を見ながら行動しているように見えることがあります。

納得すれば動く。
警戒すべきと感じれば距離を取る。
嫌な経験をすると、同じ場面をよく覚えている。
家族の生活リズムや空気をよく見ている。
無理に近づかれると、はっきり嫌がる。

こうした行動は、単なるわがままではなく、柴犬の自立心や警戒心、記憶力の表れとして見えることがあります。

柴犬は「頑固」なのか|いわゆる拒否柴について

柴犬についてよく言われる言葉に、「頑固」があります。

最近では、SNSなどで「拒否柴」という言葉を目にすることもあります。

いわゆる拒否柴とは、散歩中に急に立ち止まる、行きたい方向と違うと動かなくなる、家の前まで来ても帰りたがらない、といった柴犬らしい行動を指して使われることがあります。

抱っこや足拭きを嫌がる。
病院や爪切りを強く警戒する。
一度嫌だったことをよく覚えている。

こうした場面では、飼い主が「どうして言うことを聞いてくれないのか」と困ることがあります。

ただ、拒否柴を「わがまま」「頑固」とだけ見ると、その子が何を感じているのかを見落としてしまうことがあります。

怖い。
嫌だった経験を覚えている。
体を触られることに不安がある。
自分の距離感を守りたい。
暑さや寒さ、疲れを感じている。
足腰や関節に違和感がある。

このような背景がある場合もあります。

特に、若いころは「拒否柴」として笑って見ていた行動でも、年齢を重ねてから急に歩かなくなった場合には、痛みや体調の変化が関係していることもあります。

柴犬と暮らすうえでは、「無理に従わせる」よりも、その子が何に反応しているのかを観察することが大切です。

柴犬のしつけで大切なこと

柴犬のしつけでは、一貫性と距離感が大切です。

その場の気分で対応が変わると、犬は混乱しやすくなります。
また、力で押さえつけるような関わり方は、柴犬の警戒心を強めてしまうことがあります。

柴犬は、嫌だった経験をよく覚えていることがあります。
爪切り、足拭き、ブラッシング、動物病院、抱っこ、ハーネスの装着などで、強い嫌悪感が残ると、次からさらに抵抗が強くなることがあります。

大切なのは、日常の中で少しずつ慣らすことです。

いきなり長時間触るのではなく、短い時間から始める。
できたら終わる。
嫌がる前にやめる。
無理に追い詰めない。
家族内で対応をそろえる。
怖かった経験を増やしすぎない。

こうした積み重ねが、柴犬との信頼関係につながります。

柴犬は、納得できないことを無理にされると強く抵抗することがあります。
一方で、安心できる関係ができると、その子なりに家族の生活に合わせていくことがあります。

柴犬は飼い主のことをよく見ています

柴犬は、必要以上にべったり甘えるタイプではない子もいます。

少し離れた場所から家族を見ている。
いつもの場所で静かに過ごしている。
必要なときだけ近くに来る。
家族の帰宅時間を覚えている。
飼い主の声や動きの変化に反応する。

このような姿を見ると、「距離はあるけれど、ちゃんと見ている」と感じることがあります。

柴犬の愛情表現は、犬によってさまざまです。
いつも抱っこを求める子もいれば、少し離れた場所にいることで安心している子もいます。

「甘えてこないから懐いていない」とは限りません。
柴犬には柴犬らしい距離感があります。

その距離感を理解すると、柴犬との暮らしは少し見え方が変わります。

柴犬の自立心は、魅力でもあり難しさでもあります

柴犬の自立心は、魅力の一つです。

凛としている。
自分の世界を持っている。
簡単には流されない。
家族との距離感が独特である。
信頼した相手には深い結びつきを見せる。

こうした点に惹かれて、柴犬を好きになる方も多いでしょう。

一方で、自立心が強いからこそ、しつけや日常ケアで難しさを感じることもあります。

そのため、「柴犬は飼いにくい」と感じる場面があるかもしれません。
ただ、それは柴犬が賢くないからではなく、自立心や警戒心、記憶力が強く表に出ている場合があります。

若いころのしつけや日常ケアで見えていた柴犬らしさは、年齢を重ねてからも形を変えて現れることがあります。

特に、老犬になってからは、若いころ以上にこだわりが強く見えたり、触られることを嫌がったり、環境の変化に敏感になったりすることがあります。

年齢を重ねると、視力や聴力の低下、関節の痛み、内臓の不調、認知機能の変化などが加わることがあります。
そのため、以前より怒りっぽくなった、夜に落ち着かない、急に嫌がるようになったという場合には、単なる性格だけでなく、体の変化も考える必要があります。

柴犬の老犬期に見られる変化

柴犬も年齢を重ねると、生活の中でさまざまな変化が見られることがあります。

散歩の距離が短くなる。
寝ている時間が増える。
足腰が弱くなる。
段差を嫌がる。
体を触られるのを嫌がる。
夜に落ち着かなくなる。
トイレの失敗が増える。
以前より不安そうに見える。

これらは、年齢による自然な変化のこともありますが、痛みや病気、認知機能の変化が関係していることもあります。

柴犬は痛みや不調をわかりやすく見せないことがあります。
そのため、「頑固になった」「怒りっぽくなった」と見える行動の背景に、体のつらさが隠れていることもあります。

いつもと違う様子が続く場合には、かかりつけの動物病院で相談することが大切です。

柴犬との暮らしは、飼い主の記憶にも深く残ります

柴犬との暮らしは、飼い主にとって強く心に残ることがあります。

簡単には甘えないけれど、気づくとそばにいた。
いつもの場所で家族を見ていた。
散歩の道順にこだわりがあった。
嫌なことははっきり嫌がった。
年をとってからも、その子らしさがあった。

そうした記憶は、長く一緒に暮らした飼い主の心に残ります。

特に、病気、介護、看取りを経験した場合には、

もっと早く気づけたのではないか。
あのとき無理をさせてしまったのではないか。
治療の選択はよかったのか。
最後まであの子らしく過ごせたのか。

と考え続けてしまうことがあります。

柴犬のように自立心が強く、感情表現が控えめに見える犬の場合、「本当はどう感じていたのだろう」と飼い主が後から考えてしまうこともあります。

飼い主自身の疲れや不眠も、見過ごさないでよいものです

柴犬との暮らしは楽しい一方で、しつけ、通院、介護、看取りの時期には、飼い主にも大きな負担がかかることがあります。

老犬介護で眠れない。
夜鳴きや徘徊で何度も起きる。
病院通いが続いて疲れている。
最期の選択を思い出してつらい。
写真を見ると涙が出る。
家族に話しても温度差がある。
仕事や生活に影響している。

このような状態が続くと、犬のことだけでなく、飼い主自身の心身にも負担がかかります。

ペットを大切に思う気持ちと、飼い主自身の疲れは、同時に存在します。
疲れているから愛情がない、ということではありません。

獣医療と精神医療の両方から、柴犬との暮らしを考える視点

保谷駅前こころのクリニックの院長は、医師・精神保健指定医であると同時に、獣医師としての臨床経験も有しています。

柴犬の性格、自立心、警戒心、しつけの難しさ、老犬期の変化。
そして、それに伴う飼い主の不眠、不安、気分の落ち込み、仕事や生活への影響。

これらは、別々のもののようでいて、実際にはつながっていることがあります。

動物医療の視点から、柴犬に何が起きているのかを理解する。
精神医療の視点から、飼い主自身の睡眠や不安、疲労を確認する。

その両方の視点があることで、ペットと暮らす方の負担をより具体的に整理しやすくなることがあります。

ペットの変化を理解している相手だからこそ、飼い主側に起きている眠れなさや不安も話しやすいことがあります。

柴犬との暮らし、介護、看取りの記憶が強く残り、飼い主自身も眠れない、不安が強い、生活に影響している場合には、ペットの状態だけでなく、ご自身の心身の状態もあわせて整理してみることが大切です。

飼い主自身の眠れなさや不安、生活への影響が続く場合には、必要に応じてWEB問診から現在の状態をお知らせください。

保谷駅前こころのクリニックは、西武池袋線・保谷駅北口すぐ、いなげや保谷駅前店2階にあります。
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