2026年6月09日
まだ、電車には乗っていない。
自宅で着替えているだけなのに、胸がざわつく。
駅へ向かう途中、脈が速くなる。
改札が見えると、息が浅くなる。
ホームへ上がる。
電車が入ってくる。
ドアが開く。
けれど、足が動かない。
発作が起きる場所は、車内とは限りません。
一度、電車で強い動悸や息苦しさを経験すると、身体はその前の場面から警戒を始めることがあります。
これが、乗車前に始まる予期不安です。
明日の電車は、前日の夜から始まっている
日曜の夜、布団に入る。
明日の朝、電車に乗れるだろうか。
混んでいたらどうしよう。
途中で苦しくなったらどうしよう。
遅刻したらどうしよう。
考えるほど眠れなくなります。
朝になると、寝不足で身体が重い。少しふらつくだけで、「今日は危ない」と感じる。
朝食を取ると気持ち悪くなりそうで食べない。
何度もトイレへ行く。
水や頓服薬を確認する。
いつもより早く家を出る。
まだ電車に乗っていないのに、一日の力を使い始めています。
電車への不安は、ドアが閉まった瞬間ではなく、明日の通勤を考えた夜から始まることがあります。
なぜ、乗る前から身体が反応するのか
以前、電車内で強い発作を経験した。
そのあとから、
駅までの道。
改札の音。
ホームの混雑。
電車が入ってくる音。
こうしたものが、「また発作が起きるかもしれない」という合図になることがあります。
すると、乗車前から、
動悸
息苦しさ
吐き気
発汗
ふらつき
手足のしびれ
強い便意や尿意
などが現れます。
「まだ乗っていないのに症状が出るのはおかしい」ということではありません。
身体が、過去の発作を先回りして警戒しています。
電車を一本見送ると、少し楽になる
不安が強いと、電車を一本見送ることがあります。
ホームから離れる。
改札の外へ出る。
会社へ体調不良の連絡をする。
家へ戻る。
その瞬間、不安は少し下がります。
すると、「乗らなかったから助かった」と感じます。
次の日に同じホームへ立つと、さらに不安が強くなることがあります。
避けたことを責める必要はありません。強い不安の中では自然な反応です。
ただし、見送る、引き返す、欠勤することが増えている場合は、自分だけの工夫では生活を戻しにくい段階かもしれません。
車内では平気なのに、乗る前だけつらい場合
電車へ乗るまでが最もつらく、いったん乗ると少し落ち着く方もいます。
この場合、不安の中心は実際の車内環境よりも、
「乗ったあと発作が起きるのではないか」
「今日は乗れないのではないか」
という予測にあります。
一方、乗車後も不安が続く場合や、急行・快速など途中で降りられない電車に限って症状が強くなる場合もあります。
電車内の不安全般については「第328話 電車に乗るのが不安になってきた方へ」、急行・快速への不安については「第344話 各駅停車には乗れるのに、急行・快速電車が怖い方へ」で詳しく解説しています。
受診を考えてよい状態
前日の夜から翌朝の電車が不安になる
自宅を出る前から動悸や吐き気がする
駅へ近づくと息苦しくなる
改札を通れないことがある
ホームで電車を何本も見送る
出勤前に何度もトイレへ行く
遅刻、欠勤、在宅勤務への切り替えが増えた
通勤への不安で睡眠が崩れている
乗車前の症状は、本人の気持ちが弱いから起きるものではありません。
発作の記憶と予期不安によって、身体の警戒が早く始まっています。
ただし、初めて経験する強い胸痛、失神、持続する呼吸困難、運動時にも起こる動悸などがある場合は、パニック症状と決めつけず、先に身体疾患の確認が必要です。
家を出る前から始まる不安を、WEB問診へ
WEB問診には、
前日の夜、自宅、駅までの道、改札、ホームのどこから症状が出るか
乗車すると症状がどう変わるか
電車を見送る、引き返す頻度
遅刻や欠勤への影響
睡眠と頓服薬の使用状況
をご入力ください。
電車へ乗ってからの発作だけが、治療対象ではありません。
家を出る前から、すでに毎朝の生活が不安に支配されている。
その段階から、治療を考えてよいのです。
初診をご希望の方へ
保谷駅前こころのクリニックは、保谷駅北口階段前、いなげや保谷駅前店2階にある、完全予約制の小規模な心療内科・精神科クリニックです。平日夜間、日曜・祝日も診療しています。
安全で安定した診療体制を維持するため、診療枠をあらかじめ定めており、初診で受け入れられる人数にも限りがあります。
当院は、長時間の傾聴やカウンセリングだけを主な目的とする外来ではありません。限られた診察時間の中で、症状、生活への影響、治療歴、服薬状況を確認し、必要に応じて薬物療法を含む現実的な治療方針を検討します。
WEB問診の送信は、予約の確定ではありません。WEB問診を書けば、必ず初診予約が取れるという仕組みでもありません。
医師が問診内容を確認し、当院の診療体制でお力になれると判断した場合にのみ、WEB予約をご案内します。
症状の重さ、治療歴、必要となる支援、受診目的などによっては、より診療体制の整った医療機関の方が適している場合があります。
小規模クリニックのため、すべての方、すべてのご相談をお引き受けできるわけではありません。あらかじめご了承ください。
電車を見送る回数や欠勤が増える前に、まずWEB問診から現在の状態をお知らせください。
保谷駅前こころのクリニック
