2026年8月16日
連休中は、普通に眠れていた。
昨日までは夜更かししてもそれほど気にならなかった。
ところが、連休最終日の夜になると急に眠れなくなる。
布団に入った途端、
「明日は何時に起きよう」
「電車、混んでいるだろうな」
「朝一番であれをやらないと」
「休んでいた分、仕事がたまっているかもしれない」
と、次々に明日のことが浮かんでくる。
時計を見る。
まだ23時。
「今寝れば7時間眠れる」
もう一度見る。
0時を過ぎている。
「あと6時間しかない」
そうやって計算を始めるほど、かえって目が冴えてくる。
こういう方は、診察室でも珍しくありません。
そして私は、このような話を聞いているとき、
「この人は、明日の仕事を今日から始めてしまっているのかもしれない」
と考えることがあります。
仕事は明日なのに、頭の中だけ先に出勤している
連休最終日の不眠を、単純に「寝つきが悪い」とだけ考えると、本質を外してしまうことがあります。
仕事が始まるのは、明日の朝です。
ところが頭の中では、もう今日の夜から仕事が始まっています。
上司の顔を思い出す。
未処理のメールを想像する。
朝の電車を思い浮かべる。
会議の予定を確認する。
失敗した場面まで思い出す。
身体は布団の中にいるのに、頭の中だけ職場にいる。
私はこれを、
「夜の前倒し出勤」
のような状態として考えることがあります。
休みはまだ数時間残っているのに、自分でその時間を仕事に明け渡してしまっているのです。
連休最後の夜まで仕事に持っていかれる。
これは、なかなかつらいものです。
「眠らなければ」と思うほど、仕事のことを考えてしまう
ここでもう一つ起こりやすいことがあります。
「明日は仕事だから、今日は絶対に眠らなければ」
という考えです。
眠ることに締め切りができてしまいます。
「0時までに眠らなければ」
「7時間確保しなければ」
「眠れなかったら明日は仕事にならない」
こうなると、睡眠が休息ではなくなります。
睡眠そのものが、翌日の仕事のために達成しなければならない課題になってしまうのです。
仕事や学校などについての心配は不眠のリスクを高めることがあり、睡眠時間を気にして時計を繰り返し確認することも、不眠を悪化させる要因になり得ます。
そこで、私は少し考え方を変えてみることを勧めることがあります。
「今夜の仕事は、眠ることではない」
という考え方です。
眠ろう、眠ろうと頑張り続けなくてもいい。
明日の仕事まで、今夜のうちに片づけなくてもいい。
明日の問題は、明日の自分に返していいのです。
「明日、大丈夫だろうか」ではなく「明日の何が嫌なのか」
連休最終日の夜に毎回眠れなくなる方には、もう一つ考えてほしいことがあります。
漠然と、
「明日仕事だから嫌だ」
で終わらせないことです。
もう少し細かくしてみます。
朝起きることがつらいのか。
通勤電車が嫌なのか。
特定の上司に会うことが嫌なのか。
仕事量が多すぎるのか。
ミスをすることが怖いのか。
電話を取ることが怖いのか。
人前に立つ予定があるのか。
職場に着くことそのものが苦しいのか。
ここが分かると、「不眠」が少し違って見えてくることがあります。
眠れないことが問題なのではなく、
「明日、自分が行かなければならない場所に問題がある」
場合もあるからです。
私は「連休中に眠れていたか」を聞くことがあります
診察では、「何時間眠れましたか」だけを見るわけではありません。
連休中はどうだったのか。
土曜日は眠れるのか。
仕事がない前日は眠れるのか。
連休最終日だけ眠れなくなるのか。
翌日が仕事ではないと分かった途端に眠れるのか。
こうした違いは大切です。
たとえば、
連休中は午前0時になると自然に眠くなっていたのに、最終日だけ布団の中で2時間仕事について考えている。
この場合、
「自分には睡眠能力がない」
と決めつける必要はありません。
眠れる日があるという事実も、一緒に見た方がよいからです。
睡眠の治療では、こうした睡眠に対する考え方や行動を扱う認知行動療法(CBT-I)も用いられています。
一晩眠れないことより、「毎回同じ夜が来る」ことを見る
連休最終日に一度眠れなかった。
それだけですぐに病気というわけではありません。
ただ、
ゴールデンウィークの最後も眠れなかった。
三連休の最後も眠れなかった。
夏休みの最後も眠れない。
日曜日の夜にも似たことが起こる。
そして最近は、休みの最終日の昼頃から気持ちが沈み始める。
ここまで繰り返しているのであれば、
「今日眠れるか」
だけを問題にするより、
「なぜ仕事が始まる前になると、毎回ここまで心と身体が緊張するのか」
を考えた方がよい場合があります。
眠れない夜は、ときどき翌日の仕事についての情報を持っています。
明日の仕事を、今夜から始めなくていい
もし今、これを連休最終日の夜に読んでいるのであれば、明日のことを全部解決しようとしなくても構いません。
明日の朝の自分に任せられることまで、今夜の自分が引き受ける必要はありません。
仕事は明日からです。
少なくとも、今この瞬間はまだ休みです。
「休みの最後の数時間まで、仕事に渡さなくていい」
そう考えてみてください。
それでも、
連休最終日になるたびに眠れない。
仕事を考えると動悸や不安が強くなる。
翌朝が近づくほど気分が落ち込む。
仕事には行けているけれど、毎週同じことを繰り返している。
という状態であれば、一度、そのパターン自体を整理してみてもよいと思います。
当院は完全予約制です。
ご記入いただいたWEB問診をもとに、医師が内容を確認し、当院でお力になれると判断した場合に、WEB予約をご案内します。
WEB問診を書けば、必ず予約できるわけではありません。
今夜また眠れるかどうかだけではなく、「休みが終わるたびに何が起きているのか」を、WEB問診にそのまま書いてみてください。
まずはWEB問診から、今の状態をお知らせください。
保谷駅前こころのクリニック
